12/20 ニュース33号新年号を発行しました
今号はカラー印刷でお届けします。1面に、東山魁夷が学生時代に八ヶ岳南麓の風景に魅せられて描いた「山国の秋(試作)」の絵を掲載しました。多くの人を魅了し、惹きつけてやまないこの地の自然と景観を守っていくことの大切さを感じさせてくれる一枚です。
本文では、現在国交省が都市計画道路の見直しを推進していることを指摘して、計画発表から20年経過してもルートすら決まらない中部横断自動車道(長坂〜八千穂)についても同様に見直しの必要があることを明らかにする文章を掲載しました。また、長年にわたり住民運動に深くかかわってきた方々から2編の寄稿をいただきました。中部横断自動車道の建設計画の見直しを求めていくうえで教訓に富んだ、励まされる内容ですので、是非併せてお読みください。
news33
12月7日 関東地方小委員会へ計画段階評価の再審議と面談を要請!
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の計画段階評価に関し、沿線住民の会では2016年4月および2017年2月に、審議を担当した国交省社会資本整備審議会道路分科会関東地方小委員会へ再審議の要請を行いました。しかし未だに何の回答もないため、12月7日、再度計画段階評価の再審議と面談を求める要請書を関東地方小委員会の屋井鉄雄委員長(平成29年度委員長就任、東京工業大学 環境・社会理工学院教授)に提出しました。さらに、新ルートの了承後、八ヶ岳南麓では地域環境や状況などに大きな変化が起こっている現状を直接伝えるために私たちとの面談の機会を持つよう要請しました。
要請書では
@中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の計画段階評価には重大な瑕疵がある
A新ルートの建設計画予定地内に位置する、高根町を流れる「村山六ヶ村堰疎水」が新たに世界かんがい遺産に認定された
B国交省道路局の担当者も高速道路建設における「ボタンのかけ違い」を認めている
C新ルート1キロ帯の長野側の部分でも住民がルートの見直しを要請している
D国交省都市局では社会経済情勢の変化を踏まえて既存の都市計画道路の見直しを始めており、全線新設の高速道路計画も同様に見直す必要が生じている
等を指摘し、新ルート案の審議と了承を行った関東地方小委員会での再審議の必要性を明らかにしました。
計画段階評価の問題に関しては、2017年3月14日に超党派国会議員連盟でつくる「公共事業チェック議員の会」が国交省のヒアリングを行い、その場に出席した私たち山梨側住民だけでなく長野側住民も国交省の担当者に対して新ルートの問題点を指摘し、ルートの変更を訴えました。
その場で国交省は「計画段階評価は適正に行われた」とただ繰り返すだけでしたが、公共事業チェック議員の会の荒井会長が「ここまでこじれると、もう一度基礎的な段階を踏んで計画段階評価の意義の確認が必要ではないか」と発言し、やり直しを促した経緯があります。
さらに、中部横断自動車道の計画予定地では新ルート案の了承後に様々な状況の激変があり、そのことも合わせて今回再度、関東地方小委員会に対して計画段階評価の再審議と面談の要請を行いました。同時に事務局である関東地方整備への働きかけも行いました。
11/11〜12 道路全国連の全国交流集会が開催される
道路住民運動全国連絡会の全国交流集会が、「住民主体のまちづくりで、道路政策の見直しを」のスローガンのもと11月11、12日に千葉県市川市で開催され、全国で道路・公害問題等に取り組んでいる32団体、113人が参加しました。中部横断自動車道からは、沿線住民の会の4名が参加し、現状と問題点の報告を行いました。
■11月11日現地見学会
参加者はバスで東京江戸川区の「スーパー堤防」建設地を見学し、続いて市川市地域で建設が進んでいる外環道路建設現場、都市計画道路などを見て回りました。市川市を南北に貫く外環道路は来年3月の供用開始に向け急ピッチで建設が進められており、市内の至る所が大規模な工事現場となって一変し、地域が分断されてそこに暮らす人たちの生活に大きな影響を与えている状況を目の当たりにしました。完成すれば、沿線住民は環境基準を上回る騒音、振動などにされされ、排気ガスの影響も加わって窓を閉めて生活することを強いられることとなります。都市計画道路建設地では地元市も予想交通量を上回る事態になると言わざるを得なくなっており、騒音等による影響が受忍限度を超えることなどをただす取り組みが必要であることを実感しました。
■11月12日全体集会
12日に開催された全体集会では、道路全国連事務局長の橋本氏の基調報告、国会議員2名の来賓あいさつに続いて、埼玉大学名誉教授・岩見良太郎氏の記念講演が行われました。岩見氏は「住民主体のまちづくりへの課題」として、近代都市計画に対して庶民の生活感覚、くらしの視点から批判を行ったジェイコブを紹介し、「場のまちづくり」、住民主体のまちづくりが今こそ必要であると強調しました。
今回は特別報告が2件ありました。一つは「大気汚染被害者救済制度に向けて」として東京公害患者と家族の会の石川氏、もう一つは「ストップリニア新幹線」原告団から事務局長の天野氏がそれぞれの問題点を指摘して、取り組みの現状を報告しました。
その後、全国で道路問題に取り組んでいる諸団体から現地報告があり、集会アピールを採択して閉会しました。
国交省が都市計画路線の見直しを開始!
今回の報告の中で名古屋の団体から、国交省の都市計画道路の見直しで名古屋では30路線が廃止候補路線とされ5路線がその手続き中、現状幅員等への計画変更が21路線でそのうち4路線で手続きが始まったとの報告がありました。これは特に注目すべきものです。国交省の都市局は2017年7月に「都市計画道路の見直しの手引き」を公表し、その中で地方公共団体が都市計画道路の必要性について検証を行い、廃止や幅員変更など適切な見直しを行うことを助言しました。それに基づいて名古屋の都市計画道路を見直した結果、51もの計画路線の見直しが行われているという事態が明らかになったということです。国交省が都市計画路線の見直しを行っているということは当然、中部横断自動車道など高速道路全般にも影響を与えるものです。国交省には、自ら必要性を認めている都市計画道路の見直しだけでなく、高速道路道路建設を含めた道路建設全体にわたる見直しを求めていく必要があると言えます。
10月25日 関東地方整備局と面談
「計画段階評価は終了していない」に反論できず!
沿線住民の会では10月25日、さいたま市の国交省関東地方整備局を訪問し、担当者と質問・意見交換を行いました。関東地整の道路部道路計画第一課からは担当の課長補佐と係長、また関東地整の意向により甲府河川国道事務所から計画課の課長と係長が同席しました。
【意見交換の主な内容】
<関東地整との話し合いについて>
○沿線住民の会 昨年9月に「ルートの見直しを中心とした話し合い」を甲府河川国道事務所、長野国道事務所に申し入れ、正式に受諾の回答をもらったが、その後の関東地方整備局の方針転換のため1年以上経過するのにいまだに話し合いがもたれていない。この事態をどう考えているのか。
■関東地整 地元の山梨県、長野県が同席するのが望ましいと考えている。
<ボタンのかけ違いについて>
○沿線住民の会 2015年11月に国交省道路局の担当者と面談した際に、「ボタンのかけ違いがあった」との発言があった。関東地整はそれに関してどのように引き継ぎを受けているのか。
■関東地整 3キロ帯の第1回アンケートの時、配慮が足りなくてボタンのかけ違いがあったが、その後の第2回アンケートではその改善の努力をした。
○沿線住民の会 「ボタンのかけ違い」はアンケートの時と、ワーキンググループを立ち上げる時の2回あったと道路局の当時の課長補佐は発言している。ワーキンググループを立ち上げる時の「ボタンのかけ違い」についての説明を求める。
■関東地整 それについては、本省道路局から聞いていないのでコメントできない。
<新ルート1キロ帯について>
○沿線住民の会 山梨側では、3キロルート帯から1キロ帯が示されるのにあたり、1か月半という短い期間でルート帯が提示された。1か月半でどのように調査・検討したのか。
■関東地整 ルートに関しては2012年7月の意見交換会の後、検討に入った。
○沿線住民の会 そうだとしても4か月ほどの期間でしかない。その短い期間でどのように検討したのか、その資料はあるのか。
■関東地整(甲府河川) 資料はない。
<須玉IC分岐のルート案に関して>
○沿線住民の会 開示請求で、中央道須玉IC・双葉ICから分岐するルート案が、新ルート案の検討と同時並行して検討されていたことが明らかになった。計画段階評価では複数ルート案の提示と比較検討が必要とされるが、比較検討の機会を与えるために須玉IC・双葉IC分岐のルート案を複数ルート案として提示すべきだったのではないか。
■関東地整 長坂IC分岐が有利であることを示すバックデータとして作成した。
○沿線住民の会 長坂からのルート案は比較検討が出来ない1本のルート案だった。複数案の提示がなかったことは、計画段階評価が適正に行われなかったことの証左である。
<計画段階評価が終了したのかに関して>
○沿線住民の会 国交省は2015年4月に中部横断自動車道の長坂〜八千穂の計画段階評価は終了したと主張しているが、長野側はいまだに3キロ帯のままだ。この状態で計画段階評価が終了したと言えるのか。
■関東地整 計画段階評価は適正に終了した。現在、長野側のルート帯の絞り込みを行っている。
○沿線住民の会 長野側3キロ帯に関して、長野国道事務所は1度も住民に対する説明会を行っていない。さらに複数ルート案の提示もない。そういう経過からしても、計画段階評価が終了したとはとても言えない。
<要請>
本件で行われた計画段階評価で行われた際の問題点を速やかに検証し、ガイドラインを見直すこと、国交省が「ボタンのかけ違い」を認めた計画段階評価の終了前に戻し、 計画段階評価をやり直すこと、関東地方小委員会での再審議を行うこと、これらの問 題が決着するまで事業を進めないことを要請する。
今回の面談まで1年7か月もの間、関東地方整備局は様々な理屈をつけて中部横断自動車道の八ヶ岳南麓での建設計画の見直しを求めている住民団体と話し合いの機会を持とうとはしませんでした。関東地方小委員会や国交大臣が言っている「丁寧なコミュニケーション」とはほど遠い状況でした。私たちは今回の質問・意見交換・要請を引き継ぎ、今後も関東地整に対して住民等の意見に真摯に耳を傾けるよう要請していきたいと思います。
10月10日ニュース32号を発行しました
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)では、長野側は未だに3キロ幅のルート帯のままです。今号では、国交省長野国道事務所、長野県、関係6町村が環境アセスに向け、それを1キロ帯に絞り込む動きとその問題点を指摘した記事を掲載しました。
また、北杜市の9月議会での中部横断自動車道についての質問に関し、市の建設部長が行った答弁の誤りと無責任な対応について沿線住民の会が行った抗議の報告も掲載しました。是非お読みください。
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の長野側ルートは未だに3キロ帯のままですが、9月21日、それを1キロ幅に絞りICの概略位置の検討を行う「第1回計画調整会議」が開催されました。会議には国交省長野国道事務所、長野県、南佐久郡6町村の担当者が参加し、長野国道事務所から
@1キロ帯は国道141号の西側でできる限り141号と併走するルート AICの概略位置は小海町、南牧村海ノ口付近、南牧村野辺山付近の3カ所を基本とする考え方が示され、了承されました。具体的なルートやICの概略位置については、今後長野国道事務所で検討するということです。
ルート変更を求める長野県の住民を無視!
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の山梨側1キロ帯では、そのルートが八ヶ岳南麓を横断することから、地域住民や別荘所有者、商店主などをはじめ多くの人が建設計画に反対しその見直しを求めています。山梨県境から長野県の野辺山付近までもこの1キロ帯に入れられていますが、その地域の多くの住民は優良農地を潰されることなどを懸念して昨年来、ルートの変更を求め続けています。南牧村全村民3000人のうち、その3分の1の約1000人の村民が村や長野県に対してルート変更の要請書を提出しているのです。3月14日には国交省に直接、ルートの変更を要請しています。
長野側3キロ帯を1キロ帯に絞った場合、そのルートが野辺山付近を通るとなれば、現在の山梨側を中心とした1キロ帯の固定化につながることは明らかです。国交省や長野県は、昨年初めまで南牧村の住民に対しての情報提供や地元説明会を行ってきませんでした。国交省は長坂〜八千穂の計画段階評価は平成27年4月に適正に終了したと言っていますが、長野国道事務所は、中部横断自動車道の長野側3キロ帯に関しこれまで一度も住民に対する説明会を開催したことがありません。ルートの変更を求める住民の要望を無視して、あたかもルートの検討に異論がないかのように建設計画を進めようとしていますが、大きな問題です。
ルートを3キロ帯から1キロ幅に絞るに際しては、まず最初に地域住民への丁寧な説明と、それを通じた合意形成が必要なことは言うまでもないことです。
8月10日ニュース31号を発行しました
今号には、7月22日に新山梨環状道路北部区間反対連絡協議会と共催で行った「道路問題と環境アセス」講演会の報告と、講師の礒野弥生氏の講演概略を掲載しました。
また、北杜市議会6月定例会における、中部横断自動車道に関する代表質問に対する北杜市の回答も掲載しました。北杜市は中部横断自動車道の須玉ICから分岐して141号沿いに北上するルートを国交省が隠していたことを質問されると、「地元説明会ですでに国交省から説明された」と事実に反する間違った回答を行っていることが明らかにされています。また、沿線住民の会が国交省へ開示請求した環境アセスの「方法書」素案の不開示の記事も是非合わせてお読みください。「方法書」素案の本編182ページがすべてが黒塗り状態です。これでは「方法書」素案の内容を見ることが出来ず、私たち国民の知る権利は奪われてしまいます。
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7月22日「道路問題と環境アセス」講演会を開催します
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の建設計画は、2014年のBルート案の対応方針の了承を受けて現在は環境アセスメントにむけた準備が進められようとしています。環境アセスに関しては、山梨県では新山梨環状道路北部区間の建設に反対している連絡協議会が、国交省に対して環境アセスのさまざまな問題点を追及し厳格に行わせた結果、7年以上も要した実例があります。私たちはその取り組みを教訓として中部横断道の環境アセスの問題を考え、その準備をしてくことが大変重要だと考えています。
今回、この新山梨環状道路北部区間反対連絡協議会と共催で、講師に東京経済大学名誉教授の礒野弥生さんを迎えて「道路問題と環境アセス」の講演会を開催します。ぜひ多くの皆さんに参加していただき共にこの問題を一緒に考えていきたいと思います。
6月10日ニュース30号を発行しました
今号は、5月20日に開催した中部横断道の現況報告会の特集記事を掲載しています。報告会には110人が参加し、沿線住民の会がこの間国交省に対して開示請求して入手した中部横断自動車道Bルートの位置とその構造の概略等を公表しました。その主要となる資料を掲載しています。
中央道・長坂大八田周辺を起点とする新ルートの概略が判明したことで、高速道路が建設されると自然と景観、生活環境や商業経営及び営農などにどのような影響が出るかを具体的にして、国交省に対し八ヶ岳南麓を横断する高速道路建設計画の妥当性、正当性を問いつつ、 更に強くルートの見直しを求めていかなければなりません。
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6.7全国公害被害者総行動で国交省と交渉
6月7日、第42回全国公害被害者総行動が行われました。東京千代田区の日比谷公園に全国から集まった公害被害者や、福島や「ミナマタ」など様々な問題に取り組んでいる人々は、集会の後、問題の解決を訴えて霞が関の官庁街をデモ行進しました。その後各省庁へ分かれて交渉を行い、沿線住民の会は道路全国連と共に国交省交渉に臨みました。
国交省へは、@国交省が作成した計画段階評価の「ガイドライン」には住民から指摘された事項の具体的な取り扱いや意見を計画に反映するための仕組みが明確にされていないこと、A情報開示請求により新ルートの概略が判明したが、なぜ国交省はいまだに住民・別荘所有者等へ知らせないのか、B中央道須玉ICから分岐して北上するルートを検討していたのに、なぜ新ルート案を提示するときにそれを複数案の一つとして示さなかったのか、の質問を行いました。
しかし国交省の答えは相変わらず「計画段階評価は適正に行われた」と繰り返すばかりで、「小委員会での審議を経て…」との発言で、沿線住民の会から「国交省が小委員会へ誤った資料を提出して審議・了承させたのは、適正と言えるのか」と質問すると、国交省の担当者は答えに詰まって明確な返事をすることができない場面もありました。また、長野側ではいまだに3キロ帯のままでルートも決まっておらず、国交省による住民への説明会が一度も開催されていないなど計画段階評価が行われていないとの追及に対しても答えられませんでした。
国交省道路局へは今後も中部横断自動車道(長坂〜八千穂)では計画段階評価が適切に行われなかったことを指摘し、ルートの見直しを求めていく必要があります。