――道路住民運動全国連絡会事務局長 橋本良仁さんを囲んで
7月23日関東地方小委員会が開催されBルートが了承されたことで、中部横断道の建設計画は計画段階評価から次のステップへと進められようとしています。私たちは環境や景観に深刻な影響を与える八ヶ岳南麓を横断する高速道路建設に反対する立場から、今後も様々な働きかけが必要だと思っています。取組みを継続していくにあたり、昨年に引き続き道路全国連事務局長の橋本良仁さんを招いて、計画段階評価以降の流れ等について説明を受け、これからはどんな取り組みが必要とされるのか、何ができるのか皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
八ヶ岳南麓を横断する高速道路建設に反対あるいは疑問をお持ちの住民の皆さんの参加を呼びかけます。
日時:9月20日(土)13:30〜16:00
場所:いずみ活性化施設ホール(大泉町)
沿線住民の会からは、現地からバスで駆けつけ、会場に直接参加して下さった方を含め、46名の傍聴参加を頂きました。また、南牧村や笛吹市の観光バスでの行政関係者らしき参加も見受けられ、国交省受付で約100人の参加があったようです。
今回も別室でモニターによる傍聴となりましたがおもな内容は下記の通りです。(約90分)
@ 開会挨拶・委員紹介 約5分
A 計画段階評価の手続きについて(これまでの取り組みの経緯と進め方について、および、前回平成24年10月4日 関東地方小委員会のおさらい)約5分
B 計画段階評価 第7回説明(審議)
1、山梨県内区間のルート検討 約5分
2、地域とのコミュニケーション活動 約15分(内、質問5分)
3、これまでの地域とのコミュニケーション活動の結果取りまとめ 約20分(内、質問意見が約10分)
4、これまでのルート検討経緯 約15分(内、感想・意見約5分)
石田委員長により「新ルートB案で了承を確認」された。
C 対応方針(案) 約25分(内、5人の委員より賛同意見約10分・石田委員長より計画段階評価についての手法の再検討に関する提案(要望) 約10分)
D 閉会挨拶
ご覧のように、関東地方小委員会委員長と委員5名の発言時間は約30分、残り60分は国交省担当官による説明に終始しました。
多くの委員が大学等で研究を生業とされていますが、1年8カ月もの時間を費やして行われたルート選定作業の分厚い資料の「中身の分析」が行われたような発言は見られませんでした。
地方小委員会委員長・委員による質問や意見は新ルートが分岐する地点のAB案の整備費用や清里駅までの所要時間(その差5分)の違いを尋ねるものでしたが、味水委員より「北杜市の活用検討委員会での今後の問題点で特質すべき点があれば教えてほしい・・・」との質問に、国交省担当官は「中部横断道が整備された時の生活環境・景観の問題・地域としての活用方法については今後検討していきたいとの意見が出たと報告を聞いています」と回答していましたが、北杜市より「北杜市まちづくりビジョン策定に伴うパブリックコメントの意見について(報告)」との文書が直近の7月11日付けで国交省に提出されており、内容は高速道路整備に関する反対意見や懸念の意見であり「所掌外」とされた意見が多数あった事を報告するべきと思いますが、全く報告されず、国交省に対してはより一層の不信感が募りました。
また、二村委員の発言では「サービスエリアやパーキングエリアの要望が出たそうだが、道路を作るのであれば上手に活用して良いものにして頂きたい・・・」とか「地域分断や周辺施設への影響に関する懸念に関してはコストも考えながら分断を通り抜けられる場所を作るとか、懸念材料をつぶしていく工夫をして頂きたい・・・」との意見を述べられていましたが、そもそも国交省の新直轄事業で既に整備されている中部横断自動車道にサービスエリアやパーキングエリアは設置されない事を理解していない事や、「地域分断」を住民間の亀裂ではなく物理的な分断ととらえてしまう事実分析(?)の甘さ(誤解)がご自身にある事を表明しており道路分科会の委員としての適性が疑われる発言となりました。
石田委員長の発言では、11回の地元説明会の結果取りまとめについて「多様な意見が出された事は積極的に評価したい」と多様な意見の中身については一切の言及は避け、「私個人への沢山のメールや手紙で懸念や進め方に関するご意見や反対する理由等沢山いただきましたが、この全体のプロセスを検討する上で参考にさせて頂いた、この場でお礼を述べさせていただきます・・・」との言葉のみで、これまでの住民の反対意見や疑問・懸念についての検討は「この一言」で終了してしまいました。
本年1月14日に沿線住民の会メンバーとの面談時に発言された「私の良心に従って判断します」との発言は、ただの方便だったか・・・と、同じ人間として悲しくなりました。
最後に石田委員長より2点要望が述べられました。
1点目、この地域は景観、自然環境、地形・地質が極めてユニークな価値を持つ地域であり、一層の飛躍を期待している地域であるので、今後事業の具体化に当たってはより一層の地域とのコミュニケーションを行って誠実な対応をして頂きたい。
2点目、これまでの計画段階評価は、アンケートを使って意見聴取をし、パターン化されているが、今回もそれを踏襲して行ったところ地域住民に迷惑をかける事になってしまい、懸念をしているので、今回を教訓に今後の計画段階評価の考え方を再検討して頂きたい。
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)は教訓とされてしまっていいはずがありません!
今後は国土交通省が交渉相手となりますが、地元住民の皆さんにもこの問題を広く知らしめるような運動に飛躍させていきたいと強く感じながら帰路につきました。(記:I)
更に、要請事項に対する具体的な対応策や改善が行われない限り、Bルートの承認を求める、関東地方小委員会の開催を行わないよう交渉してきました。
しかし、それがかなわないまま関東地方小委員会の開催が決められてしまいました。このうえは、審議が公正で透明なうちに行われるかどうか、現地でつぶさに見届けたいと思います。
どうぞ、下記の通り傍聴行動を行いますので、多数の皆さんのご参加をお願いいたします。
東京会場への傍聴行動については下記の通りです。
■日時 7月23日(水)19:30〜21:00
■場所 九段第3合同庁舎内11階 供用会議室3−1
■受付開始 19:00〜
東京会場への直接参加について
■集合時間 18:30
■集合場所 九段第3合同庁舎 正面玄関
※沿線住民の会の「のぼり旗」が目印です。
沿線住民の会 審議本会場への大型バスでの傍聴行動
■集合時間 15:15
■出発時間 15:30厳守
■集合場所 やまびこホール駐車場(北杜市高根町村山北割3315)
■参加費 2000円
■夕食(希望者) 400円(おにぎり2個とお茶セット)
傍聴参加の受付・連絡先
■東 健治 電話 090−1036−8079又は0551−45−7832 メール <azuken@bj8.so-net.ne.jp>
多くの皆さんの傍聴をお願いします。
2014年7月14日
国土交通省政務官 中原八一殿
中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会
共同代表一同
抗 議 文
7月8日の新聞報道(読売新聞)は、中原政務官は7月7日に山梨県の横内正明知事らと会い、その際に「今月中に地方小委員会を開催し、JR清里駅寄りのルートを正式に決める意向を表明した」と報じました。さらに横内知事が、山梨県高速道路整備促進期成同盟の総会で「(中原)政務官は大臣の指示として、今月中に地方小委員会を開催し、地元が望むルート案を正式に決定するという回答があった」と報告したことも報道しました。
もしこの報道が事実であるならば、大変なことです。中部横断自動車道のルートは社会資本整備審議会道路分科会関東地方小委員会の審議を受けて決定する仕組みになっており、国交省もそのように明言しています。その審議がいまだなされないうちに、国交省の政務官という重責にある人が上記の発言をしたとすれば、それはルートの決定の仕組みをないがしろにするだけではなく、関東地方小委員会そのものを否定するものにほかなりません。関東地方小委員会の審議に政治介入したと指摘されても致し方のない発言です。
私たち沿線住民の会では、中部横断自動車道の新ルート案が八ヶ岳南麓を横断することで自然や生活環境、景観に甚大な影響を与えること、また新ルート案が関東地方小委員会に出された経過の問題点などを指摘しながらBルート案の見直しと、複数案の提示と住民参加によりルートを決定することを提案してきました。中原政務官の発言が報道された通りであるとするならば、私たちの提案を真っ向から否定するものでもあり、とても容認することはできません。中原政務官の発言の趣旨の釈明と、仮に報道された通りであるならば発言の撤回を求めます。6月30日につづき7月19日には関東地方小委員会 委員長 委員各位へ提出しました
2014年7月19日
国土交通省社会資本整備審議会関東地方小委員会 石田委員長殿
委員各位
中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会
共同代表一同
7月23日、関東地方小委員会が開かれることが発表されました。国交省甲府河川事務所も関東地方整備局も本省道路局企画課も、環境や景観についての納得のいく説明や、地元の住民が議論する仕組みづくりも不十分なまま現在に至っています。その自らが附帯意見として付けた仕組みづくりもままならないまま、小委員会が仮にBルート決定をすることは、北杜市、また多くの北杜市の自然を愛する私たち沿線住民の会にとって到底受け入れられることではありません。そして、国交省が第1回ワーキンググループに提出した審議資料の問題をそのままにして、ワーキンググループの取りまとめを追認することはあってはならないことです。石田委員長も、国交省が作成したルート帯(案)図が改変されていることは、1月14日の私たちとの面談の際に「作為的と言われてもしかたがない」と認められていました。
Bルート案発表から1年たちますが、反対の声はますます多くなっています。北杜市での大きな渦となってきているのです。若い世代も反対キャラクターを作り訴えかけています。問題の大きさを知るにつれ、反対の輪が日に日に大きくなってきています。7月5日の緊急集会では「Bルートの決定を止めよう」と様々な世代がお互いに呼びかけ合って、会場は入りきれないほどの人々の熱気に包まれました。
この大きな反対の声に耳を貸さない国土交通省は、同省が、「公共事業の実施過程の透明性を一層向上させる観点、地域の声を聞きながら、計画段階において事業評価を行う」という所謂「計画段階評価」から大きく逸脱しているものだと言わざるを得ません。
この大きな市民の声を、是非小委員会に反映させていただくことこそ、真の「計画段階評価」だと考えます。
再度のお願いです。Bルート決定は、この北杜市にとって大きな禍根を残すことになるでしょう。小委員会の委員の方々にはこれからの八ヶ岳南麓を抱える北杜市の素晴らしい自然を見ていただきたいのです。これがいかに大きな財産か、世界に誇れる財産を守るか、壊すか、その大きな決定権限を持っているのです。責任ある小委員会の委員の皆様に良識ある決断をお願いしたいと思っています。「Bルートの決定をしないでほしい」これが住民の願いです。ぜひこの声を受け取ってください。
2014年6月30日
国土交通省社会資本整備審議会関東地方小委員会
委員長 石田 東生 様
中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会共同代表一同
公正な審議を求める要望書
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)計画段階評価の試行における、第7回関東地方小委員会が間もなく開催される予定と承知しています。
しかし、この間の計画プロセスには多くの問題点があり、このまま「Bルート」が承認されるのは手続きの正当性を欠いていると考えます。別紙に列挙した問題点を精査していただき、公正で客観的な御審議をお願い申し上げます。
また併せて、下記の要望事項の実現にご尽力下さいますようお願いいたします。
私たちは、山梨県内を「中部横断道」として通用する「どのような規格の道路が」「どこを通れば」この地域の振興に役立つのか、広く住民で議論したい、の願いを込めて、ここに要望する次第です。
要望事項
1 ワーキングループが選定したBルートは正式承認しないこと中部横断道の八ヶ岳南麓を横断するBルート案に反対する声が広がっています。
○今年1月北杜市中部横断自動車道活用検討委員会が住民を対象とし募集したパブリックコメントには、いまだかってない108件の意見が寄せられ、そのうちの8割以上がBルート案に反対・疑問の意見でした。また、この活用検討委員会の複数の委員からも審議のやり方への異論やBルート案への反対の意見が出されています。
○3月6日には中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会と大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会、中部横断自動車道八ヶ岳南麓の会の三団体が連名でBルートを正式決定しないよう要請書を提出しました。
○6月20日、@県道28号線につながる沿線自営業者 有志の会(50店舗)の「意見書」 A八ヶ岳の芸術的価値を守るアート、クラフト作家有志の会「意見書」 Bとおせんぼ「意見書」 C子供の未来を考える会・北杜(チャイルドほくと)「要望書」 C森のようちえんピッコロ「意見書」が、関東地方小委員会と国交省に提出されました。これらの意見書、要望書は、「八ヶ岳南麓を横断する高速道路に反対」「見直しを要望」するもので、広く住民の意見を取り入れた道づくりを求めています。
○7月5日には沿線住民の会の呼び掛けで「Bルートの決定を止めよう」緊急集会が開催され、200名を超える参加者がBルート案に反対の表明をしました。八ヶ岳南麓を横断するBルート案に反対の声は、一昨年の新ルート案の発表以降ますます大きくなり、広がっていることがこの集会の開催を通じても明らかとなりました。
○7月7日、国交省の中原政務官は山梨県の横内知事に対し「7月中に関東地方小委員会を開催し、地元が望むルート案を正式に決定する」と伝えたと報道されましたが、この発言は八ヶ岳南麓を横断する中部横断道の新ルートに反対する住民の意見を無視するもので、しかも政務官の発言としては不適切なもので看過できないことです。住民からはこの発言に対し批判がまき起こっています。
○7月12日には、高根町村山北割・西割の27戸で構成する「こかげ村水道自治会」がBルート案の再検討を要請する意見書を関東地方小委員会と関東地方整備局へ提出し、反対を表明しました。
中部横断自動車道のBルートの建設が予定されている地域とその沿線では、反対・疑問の住民が多数を占めています。国交省、関東地方小委員会は、この住民の声に真摯に耳を傾けなければなりません。