3月16日 関東地方整備局へ面談行動
国交省関東地方整備局との面談は2014年11月以降、 また甲府河川国道事務所との話し合いも同年7月以降持たれることがありませんでしたが、このたび1年4か月ぶりに埼玉の関東地方整備局において面談による話し合いがもたれました。
関東地方整備局からは道路局計画第1課の課長補佐ほか2名、甲府河川国道事務所からは副所長、計画課課長、係長が出席し、沿線住民の会・大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会からは7名が参加し意見交換と議論が行われました。
話し合いの冒頭、関東地方整備局計画第1課課長補佐から、@これまでの経緯を踏まえて沿線住民の会と話し合いをするための環境づくり、A道路局との面談の内容をさらに前進させるという観点から、話し合った観点について論点を整理していきたいという提起がありました。そして皆さんの意見を聞きながら、今後どういうふうに対処できるのかを話し合いたいとの申し出がありました。
話し合いの主な論点
1 北杜市の現状について
会・東組 北杜市では太陽光発電設備の野放図な設置の急増で生活環境、景観の破壊が進行している。中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の建設計画が作られた当初とは状況が一変している。そこに高速道路を建設すれば、八ヶ岳南麓の自然・景観の生活環境などの破壊は取り返しのつかないものとなる。
関東整備局 太陽光問題については現地へ行って確認している。
2 計画段階評価のやり直しについて
関東整備局 関東地方小委員会において議論をし尽くしたと考えている。そのことをもって計画段階評価は適正に行われたと考えている。やり直しは考えていない。
会・東組 関東地方小委員会では住民の意見は無視され、十分な審議はされなかった。そして、当時の甲府河川国道事務所の事業対策官自らが、転記ミスだと明言した新ルート帯案の改変図がそのまま訂正されずに審議資料として使われるなど、審議資料の改ざんや様々な問題がある。計画段階評価は適正に行われたとは言えず、やり直す必要がある。
3 計画段階評価の問題点、ワーキンググループ・関東地方小委員会の審議資料の改ざんについて
関東整備局 ボタンのかけ違いがあった。これは一つの問題点。地元の人ときちんとコミュニケーションが取れたと整理するのは難しいところがある。住民の意見に十分耳を傾けることができなかったことは改めるべきだ。沿線住民の会等と話し合いができる環境をつくることが、今一番大切なことだ。
会・東組 ボタンのかけ違いはいったん外してからかけないとどこまでもずれる。新ルート帯案について関東地方整備局、甲府河川国道事務所はミスだと認めているが、まずそれを訂正してほしい。国交省が「ボタンのかけ違い」を元に戻す努力をしない限り、話し合いの環境をつくことは難し
4 国道141号の改良・改修案について
会・東組 「なぜ長坂なのか」(長坂IC付近起点のBルートでなければならないのか)について合理的な、納得のいく説明が全くされていない。
関東整備局 なぜBルートでなければならないのか、国道141号の改良・改修でダメなのか、甲府河川国道事務所はもっと説明すべきだ。
5 建設費用について
会・東組 北杜市側は1600〜1700億円の概算が出されている。長野側は?
関東整備局 長野側は建設費用の具体的な金額は算出していない。
北杜市では現在、太陽光発電設備に関し野放しのような状態で各地に施設が設置されています。沿線住民の会では八ヶ岳南麓の自然・景観を大切にし守っていくという観点から、太陽光発電設備の問題は「八ケ岳南麓における中部横断自動車道の建設」問題と同じものと考え、自然・景観の破壊を防ぎ、住民が安心・安全に暮らしていけるよう、当初からこの問題に取り組んでいる「太陽光発電を考える市民ネットワーク」と連携してきました
パブリックコメントでは数値を入れた規制を求める意見
今年1月8日から2月1日までの期間で北杜市まちづくり推進課が募集した北杜市景観計画変更案に関するパブリックコメントには、いまだかつてない263件もの意見が寄せられました。この数の多さだけでも住民の関心の高さをうかがい知ることができるものです。しかし北杜市はこのパブリックコメントに寄せられた市民の意見を景観計画変更案に十分反映させずに景観計画を変更し、2月19日にホームページ上で発表するに至りました。更に3月の市議会で北杜市景観条例の一部改正を行おうとしています。
沿線住民の会では、パブリックコメントで表明された市民の意見を今後も引き続き景観計画及び景観条例に十分に反映させることを求めるため、3月1日、北杜市建設部まちづくり推進課に対し要請書を提出しました。
北杜市の自然・景観、生活環境を守るため具体的な数値を盛り込むよう要請
対応した建設部長、まちづくり推進課の担当者は沿線住民の会からの質問に対し、景観法施行令に基づいて太陽光発電設備を設置する土地の境界からの後退距離、その高さに関し制限をすることができることは認めたものの、その具体的な数値についてはどれくらいがいいのか判断できないということで変更案に盛り込まなかったと返答しました。しかし、南アルプス市、茅野市などの景観計画では地域に合った具体的な数値が盛り込まれていることを指摘し、北杜市の憲章でも謳われている豊かな自然と美しい杜を守るため、設置場所の土地の境界から5m後退させる、太陽光設備の高さは1.5mなどパブリックコメントで多くの市民が提唱している明確な数値を盛り込むよう要請しました。
※要請書
今号には1月の総会の報告、寄稿文、昨年11月に行われた道路住民運動全国連絡会の交流集会の講演からオーフス条約に関する文章などが掲載されています。
news221月24日、沿線住民の会の総会がいずみ活性化施設で開催され、2016年の活動方針が確認されました。この日は朝から雪が降り、時折強い風で吹雪舞うという悪天候にもかかわらず50人を超える参加者による、熱気にあふれた総会となりました。
総会では関係団体の大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会、中部横断自動車道八ヶ岳南麓の会、明野廃棄物最終処分場問題対策協議会の代表から挨拶を頂き、北杜市太陽光発電を考える市民ネットワーク、八ヶ岳南麓景観を考える会、新山梨環状道路北部区間、「ストップ・リニア ! 訴訟」リニア・市民ネット山梨、道路住民運動全国連絡会からの励ましのメッセージが紹介されました。
つづいて北杜市市議会の清水進議員、斉藤功文議員からも発言があり、当日参加できなかった野中議員、岡野議員からのメッセージが読み上げられました。
2015年度の活動報告、会計報告、2016年度の会計予算の説明の後、
2016年の活動方針として、
環境省・国交省へ継続的に八ヶ岳南麓の環境保全や環境アセスメントについて働きかけていく
山梨県、北杜市への意見交換・要請行動を継続していく
長期的に運動を進めるために会員の拡大を図る
ことを基本方針として確認し、加えて環境アセスに対応した講演会・学習会・フィールドワークなどに取り組み、道路住民運動全国連や地域の諸団体と連携・連帯して運動を広げていくことが確認されました。
すでに明らかにされているように、国交省は一方で中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の建設費用がいくらかかるか不明であると認めながら、他方で建設計画は着々と進めています。2016年は国交省に対しこのずさんな計画の見直しを求め、環境アセスを行わないように要請していくことがますます重要となっています。八ケ岳南麓を横断する中部横断自動車道新ルート案が発表され、それに反対して結成された沿線住民の会の活動は今年で4年目を迎えようとしています。私たちはこの地の豊かで素晴らしい自然と景観、生活環境を大事にしたいという思いから、高速道路建設計画の見直しを求めて関係諸機関へ働きかけを行ってきましたが、国と県、北杜市は様々な意見に対して聞く耳を持たず、ただひたすらBルート案での計画推進を強行しようとしてきたのがこの3年以上にも及ぶ経過だと言っても過言ではありませんでした。
この建設計画の不明瞭さや杜撰な点については、建設費用の総額がいまだに明らかにされていないということに端的に表れています。国の巨大プロジェクトなのに、建設総費用がいくらかかるのかわからない(国交省担当所管談)まま計画だけが進められていることにも私たちは大きな憤りを感じています。新ルート案が出される経過も不明瞭で、複数案の比較評価も行われないなど建設計画の見直しが必要なことはもはや誰の目にも明らかになっています。
沿線住民の会では2014年11月、国交省に対して中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の計画段階評価のやり直しを求め、2015年11月にはその問題点をまとめた「意見書」を提出しました。国交省道路局は「地域の住民との合意形成が十分できていない」ことを認め「もう1回考え直せと(関東地方整備局、甲府河川国道事務所に)指導している」と明言しました。さらに「今後は山梨県や北杜市にも働きかけていく」と述べました。今年も国政にも働きかけながら、国交省に対し、「意見書」の内容を踏まえて計画段階評価のやり直しを検討するよう強く求めていきます。
昨年の活動の報告とこれからの活動に関し、2016年の沿線住民の会の総会を開催しますので、会員の皆さんは是非ご参加ください。
沿線住民の会総会
■日時 1月24日(日)午後1時30分〜3時30分
■場所 大泉町いずみ活性化施設ホール(北杜市大泉町西井出2197)
2015年活動報告、会計報告、2016年活動方針、意見交換などを予定しています
建設費用は一体いくらかかるのか
中部横断自動車道(長坂〜八千穂34q)の建設費用の内で、長野県側(野辺山〜八千穂22q)の建設費用がいまだに算出されていないことが判明しました。沿線住民の会の問い合わせに12月23日、国交省関東地方整備局が回答しました。
山梨県側(長坂〜野辺山12q)のBルートでの建設費用が約1600〜1800億円にのぼることは、2012年に開催された関東地方小委員会第1回ワーキンググループに国交省甲府河川国道事務所が提出した資料で明らかにされました。しかし長野県側の建設費はそれ以降3年経た現在でも公表されず、このたび国交省に問い合わせたところ、ルート帯がまだ3q幅から絞られていないため算出できず、環境アセスの過程でルート帯が絞られてから算出するとの回答でした。
総建設費用がいくらになるか不明のまま進められ、追加の建設費用はその途中で算出するという中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の建設計画! 建設を進めるにつれて総建設費が膨れあがっていく仕組みになっていることは、容易に想像がつきます。国の巨大プロジェクトでこんな不明瞭でずさんな建設計画が許されていいはずはありません。このまま進んでいけば、新国立競技場の旧案による建設計画の失敗の轍を踏むことにもなりかねません。
計画段階評価のやり直しを!
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の計画段階評価は2010年に開始されました。国交省は「計画段階評価は適正に行われた」(道路局)として2015年3月には終ったと公言していますが、4年半の評価期間をかけても建設費用すら明らかにできないのに、どうして終わったと言えるのでしょうか。建設費用の全容を国民、沿線住民に説明できなかったことだけでも計画段階評価の重大な瑕疵であり、もう一度やり直す必要があります。すなわち国交省は中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の建設計画を進める前に、その建設費用の総額の公表を含めた建設計画の全容を再度国民に丁寧に説明し、費用の低減やルートの見直しなどについて国民の合意を得る責任を果たすよう強く要請したいと思います。