沿線住民の会と大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会は5月13日、北杜市役所を訪れ中部横断自動車道について北杜市長への面会の要請書を提出しました。
2012年11月に中部横断自動車道の新ルートが発表されて以来、地元の生活に大きな影響を与えるこの建設計画について、沿線住民の会と東組高速道路反対対策委員会は白倉市長に対し再三面会を要求してきましたが実現しませんでした。国交省が行ったアンケート結果や地元説明会、市の中部横断自動車道活用検討委員会でのパブリックコメントでは、八ヶ岳南麓での高速道路の建設反対、自然・景観、生活・経済環境などを懸念する意見が多く出されています。
こうした状況の中で市長と住民との話し合いが2年以上ももたれずに、建設計画の検討が進められていることは異常な事態です。北杜市長との話し合いの中で、多くの住民や別荘所有者が新ルート案へ疑問をもち反対をしていることを伝え、八ヶ岳南麓やその周辺の地域にとっての道路の在り方、自然・生活環境の保護や地域の活性化などへの方策が見いだされることを期待します。
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の八ヶ岳南麓を通る新ルートは、計画段階評価から環境影響評価(以下環境アセス)の段階に入ろうとしています。
環境アセスは私たち沿線住民の会や地域の住民の多くの皆さんにとっても初めてのことであり、環境アセスとはどういうものなのか? どのように行われてどこを注視する必要があり、住民の意見はどのように反映させられるのか? など分からないことがたくさんあります。
これらの点について、山梨新環状道路北部区間で7年にわたり環境アセスの問題に取り組み、現在、リニア問題にも取り組んでおられる慶応大学名誉教授、日本景観学会副会長の川村晃生氏を講師に招き、5月23日に環境アセスの学習会を開催いたします。講演の後、質疑応答を行う予定ですので、会員の皆さんや沿線住民の会の活動の趣旨に賛同していただける方のふるっての参加を呼びかけます。
「アセスで戦う」−環状道路北部区間とリニアの経験から−ー
講 師 川村晃生氏
日 時 5月23日(土)開場:13:00 開始13:30〜15:30
場 所 いずみ活性化施設ホール(大泉町)
ニュース17号(4月号)では、今後予定される中部横断自動車道新ルートの環境アセスメントに向けた準備を呼びかけています。
記事として、北杜市議会議長へのワークショップの開催に関する再回答、活用検討委員会の傍聴記を掲載しました。
また「八ヶ岳南麓のここが好き」では、22年前に八ヶ岳南麓に移住し、その自然環境の変化をつぶさに見続けてきた住民の方に投稿していただきました。
新たなシリーズとして、「八ヶ岳のふもとの『日本みつばち』たち」春編を掲載しています。夏編〜秋編と続ける予定です。八ヶ岳南麓の自然の中で共に生きる日本みつばちの生態をご覧ください。
北杜市では昨年から、ソーラーパネルの設置による環境破壊が驚くべき速さで進んでいます。八ヶ岳の自然環境を守るために活動を行っている団体から、現状の報告とルール作りを求める署名の呼びかけを寄稿として掲載しました。
昨年12月26日、国交省は環境省に中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の環境影響評価に関する「検討書」を提出しましたが、それを受けて環境省は本年3月5日、この「検討書」に関する環境大臣意見を国交大臣に提出したことが明らかになりました。国交省が提出した「検討書」は、「環境影響評価法」のなかで環境影響に関する「配慮書」とみなされるものです。
2013年に改正された「環境影響評価法」では、事業者は計画段階で環境に与える影響への配慮事項を検討した「配慮書」を環境大臣に提出し,環境大臣はその「配慮書」への意見を国交大臣に提出し、さらに国交大臣はそれを受けて90日以内に事業者に対して国交大臣の意見を提出しなければならないことになっています。事業者(この案件では国交省)はその意見を受けて概略計画を策定する手順となります。
国交省が提出した「検討書」は2013年1月〜2月の地元説明会の資料をそのまま踏襲し、比較評価のとりまとめや対応方針(案)の内容はこれまで国交省自らが行った住民アンケートでの結果である、山梨側の住民が「現道の走行性・安全性」「環境・景観の保全」を求め、高速道路建設を望んでいないことや、現在示されている長坂を起点とする1キロ幅の新ルート案に対する比較検討案が示されていないことなどを一切無視して作成された内容となっています。
環境省が「環境大臣の意見」を提出するに当たり、国交省が提出したこの「検討書」に対しては環境影響評価法で必要とされている中部横断自動車道のルートに関する「国民からの意見」は既に聴取済みで必要ないとされているので、国交省はこのまま対応方針の決定を行い、概略計画の検討・決定へと進めていくものと思われます。
昨年7月23日の関東地方小委員会でのBルート案の了承の後、地元住民をはじめ多くの人々の反対で国交省は対応方針を決定することができませんでしたが、ここにきて八ヶ岳南麓を横断するBルート案の対応方針の決定の手続きを進めていることから、ルートの絞り込みと環境アセスメントへの準備に入ることが予想されます。沿線住民の会では今後、国交省の動きを注視しながら中部横断自動車道の対応方針―Bルート案を決定させないよう働きかけていきます。
沿線住民の会では1月28日に大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会と共に北杜市議会議長に対して要請行動を行いましたが、明確な回答が受けられませんでしたので再度回答を要請していました。3月13日にその再回答があり、その際、八ヶ岳南麓を横断する高速道路建設の議会審議の実態、高速道路建設の必要性、北杜市中部横断自動車道活用検討委員会のワークショップなどについて質疑・応答、要請を行いました
再回答は、
1.北杜市活用検討委員会のワークショップが公平性の欠ける募集をしていることについて
「募集要項で広くということで募集しているので問題はない。」「新ルート案に疑問や反対の人を排除しているわけではない。」
2.ワークショップに3名の推進の会の議員が参加していることについて
「市民の立場で参加している。議員がワークショップに参加することで、参加者が自由な意見を発表しづらくなることはない。」「議員の倫理規定にも反していない。」
3.非公開での開催については
「ワークショップの開催後に内容を公表している。非公開といっても傍聴ができないだけだ。」4.中部横断自動車道の建設の必要性について
「議会では推進の早期整備を求める意見書を3回採択している。議会は推進の立場である。
というもので、残念ながら前回から一歩も進まずに終わりました。
議長とのやりとりのなかで、議会では新ルートB案の建設による自然・生活環境、農業、観光など地域への具体的な影響やその是非についての審議が一度もされなかったことを確認しました。環境や住民の生活などに重大な影響を及ぼす問題について、議会がその内容を検討・審議することなく早期着工、推進の意見書を採択したということは驚きです。北杜市議会議長の「再回答」は市の行っていることをただ追認するだけのもので、議会として行政を監督する役割を放棄するものと言えます。北杜市議会には、今からでも中部横断道新ルートの問題について具体的な審議を行うなど真摯に検討対応するよう強く求めました。
中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の新ルート案は、北杜市中部横断自動車道活用検討委員会のワークショップの中間報告が出された後、国交省による対応方針の決定を受けて4月にも従来の1キロ幅から絞り込まれることが予想されます。
沿線住民の会ではこのたび、次の段階の環境アセスメントへの準備に備えるため、この間様々な地域で環境アセスメントの問題を取り上げその問題点を指摘してきた「環境アセスメント問題都民連絡会」(アセス都民連)へ入会しました。アセス都民連は、東京都の「外郭環状道路の2」や「都道86号線」などの環境問題に幅広く取り組んでいるだけでなく、「PM2.5」など公害の問題も取り上げています。
今後様々な情報を共有して互いに協力しながら、環境アセスメントが実施された際には中部横断自動車道の新ルート案が自然と環境、景観などに及ぼす問題点を総合的に取り上げ、八ヶ岳南麓を横断する高速道路の建設に反対していきます。
沿線住民の会では1月28日、大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会とともに北杜市議会議長あてに北杜市中部横断自動車道活用検討委員会が開催しているワークショップについての要請書を提出しました。2月3日に口頭でその回答がありましたが、内容に不十分な点が多々あり「回答」とはほど遠いものであるので、再度詳しい説明を求めるため2月23日に再回答の要請書を提出しました。
2/3の「回答」では、関係者ワークショップが新ルートに疑問・反対の意見を持っている住民を排除して非公開で行われていること、北杜市議会議員中部横断自動車道推進の会の議員3名が参加していることへの北杜市議会としての見解を求めました。議長の回答は「広くということで公募している」「議員はひとりの市民として、議員資格でなく市民資格で応募をしているので、議会はそれを妨げるものではない」というもので、現状を追認したとても説明とは言えないものでした。
沿線住民の会では東組高速道路反対対策委とともに再度、関係者ワークショップが非公開で行われたこと、市議会議員の参加が参加者の自由な発言の妨げになり、議員の倫理規定にも抵触することを指摘して、回答を求め要請書を提出しました。
また、新山梨環状道路北部区間で環境アセスの問題に取り組んできた反対連絡協議会の川村事務局長の提言も載っています。これから始まる中部横断自動車道・長坂〜八千穂間の環境アセスへの取り組みに、大いに参考となるものです。
現在、北杜市活用検討委員会のワークショップが行われていますが、沿線住民の会では大泉町下井出地区東組高速道路反対対策委員会と共に1月28日、北杜市議会議長に対しその開催状況についての調査を求める要請書を提出しました。
要請書では、
1.ワークショップの開催が適切に行われているか調査すること、2.ワークショップに北杜市市議会議員中部横断自動車道推進の会の議員が参加していることを調査して公表することなどを求め、2月3日までに回答するよう要請しました。
渡邊議長との話し合いの中で、沿線住民の会の「これまでの議会でBルート案の中身について審議が行われたか」との問いに対し、渡邊議長は議会運営委員会(議事録非公開)で議員から提出された意見書についての議論はあったものの、Bルート案の具体的内容については議会での審議が行われていないことを認めました。また、中部横断自動車道の案件を審議する経済環境常任委員会でもBルート案についての自然・生活環境などへの影響や高速道路構造上から懸念される影響など具体的な審議がされていないことも認めました。議会は二元代表制により行政・執行機関を監視・評価する役割を担っており、Bルート案に反対・懸念をもつ当該住民や近隣地域の住民などを排除するワークショップの参加者公募のあり方、開催時間や開催場所、参加者を非公開にして開催されていることをどう考えるのかとの沿線住民の会からの問いに対しては、返答がありませんでした。
渡邊議長は、これらのことを含め、調査の結果をできるだけ早く回答することを約束しました。