国交省の「ガイドライン」に沿った「住民参画型の道づくり」を、地元説明会の当初から強く要望してきたが、取り上げてもらえなかったこと。
私達は、突然の「新ルート帯案」発表により、「高速道路行政」と初めて正面から対峙する状況になりました。「地元説明会」に参加するに当たり、「よりよい道路作りとは?」「何か良い解決策は?」と自ら模索し「PIによる住民参加の道づくり」〜能越自動車道(田鶴浜〜七尾)みちづくり懇談会の取り組み〜国土交通省職員 田中義太郎氏著 を知りました。
そこには「行政側より複数のルート帯案を提示するのではなく、ワークショップ形式を採用し、参加者自らが複数のルート帯案を描き、その後、比較・検討を行った。それにより必然的に個人的な希望・要望は通用せず、将来の地域に望ましいみちづくりへと論点がしぼられる」と述べています。
また、「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」(2008年)のモデル的取り組みと言われる横浜環状北西線のPIを見てみます。そこでは当局からたたき台の1案が出された後、住民等から9案が提示され比較検討を行い、さらに概略計画では13案の提示で7案を絞り込み、最終的な1案を推奨案としています。
このような経過でルート検討を行った結果、PIを実施しなかった横浜環状北線で都市計画案に対する意見が54万件あったのに対し、北西線ではなんと20件であったと言われています(東京工業大学 屋井鉄雄教授)。
長野側と、山梨側では「周辺地域の課題」と「課題を解決するための目標」も違います。
「地元説明会」でも、「住民参加型みちづくり」を希望する意見や要望が出されました。「沿線住民の会」からも<「計画段階評価」に関する申入れ書>で住民参加の新計画案作りへの提案として、北杜市民の参加によるPIの要望書を提出しましたが、関東地方整備局は、「小委員会へは伝えていない」との回答でした。
2009年には「行政に対する住民の信頼意識にPI活動が与える影響:東京外かく環状道路を対象として」という研究を石田委員長ほか3人で発表されています。ここでは未だ対話式PIが実施されていません。是非この研究を活用して下さるよう切に願います。
第1回地方小委員会が平成22年12月2日に開始されて、既に2年半が経過していますが、山梨県側の整備方針が未だに決定できていない原因は、地元住民の意見を聞くコミュニケーション活動が一方通行であった事に他なりません。
「将来の地域に望ましいみちづくり」の為には地元住民の意見が不可欠です。是非「山梨県北杜市全住民の参加による基本計画から事業計画策定まで住民参画型の 道づくり」を再検討・ご提案頂けますようお願い致します。
(1)「新ルート帯A・B案」の提示はあたかも選択肢があるかのようです。WGもそのどちらかを選択するのが主な役割と久保田座長も明らかにしていました。しかし、長坂インターから津金までは一つのルートでしかありません。
このやり方は長坂から津金のルート住民にとって新ルート提示が即、決定になるシステムになっているのです。ですから地元説明会で新ルート案に対する多くの疑問、反対意見が出されたのでした。私達には相対評価の機会が与えられていない事は極めて不当で、「中間とりまとめ」以前に立ち返った審議を要望致します。
(2)遡って見ると、国交省は2回のアンケートで提示した高速のルート案は「南
麓への異論」から平成24年10月に断念しました。そして止むを得ず、新しいルート案を考える必要に迫られることになりました。本来なら改めてアンケートからやり直す必要があります。
委員からも「白紙からやり直し」の正当な意見も出ています。しかしワーキングループで検討して出されたルートは実質代替案の無い新ルートでした。
(3)アンケートや今年の説明会等で市民の多くが「現道利用(国道141)」を主張、
支持している事実から、新ルートを提示する段階で比較案の対象にすべきであったと考えます。これまで、複数比較案による討議の機会を与えられなかったのは「計画段階評価の手続きに瑕疵がある」と言わざるを得ません。
(4)関東小委員会は、議事録を見る限り現道利用について、国交省の説明だけで
判断し選択肢から排除しています。是非小委員会として独自に現地を視察、調査して比較案足りうるかどうかの再考を願うものです。
平成22年12月以来、国交省の進めてきたこの高速道路計画の進行のどこに問題があったのか、わたしたちの主張を検証するよう関東地方小委員会の委員あて「要請文」を7月19日に送付しました。その要請文記載の7項目について要約、加筆してシリーズで掲載します。
アンケートの結果は「国道141号線改良案」が山梨県側では民意であり、アンケート用紙の配布と集計に「高速道路整備への誘導」と疑われる、公正さを欠いた事実があること。
@ 第1回アンケートの結果について、長野県側と山梨県側(北杜市)では「構造的な差と回答率にも差がある時に、足して、というのは変」と石田委員長は指摘、第2回アンケートに「国道141号線改良案」を入れることになりました。これは少なくとも山梨県側は「一般道改良」という選択肢があることを示したものです。
A 第2回アンケートの用紙の配布場所や部数の偏り、設問が集計困難な自由記入、集計結果は賛否を合わせた数字など「世間一般では見ないような方法」(二村委員)でした。しかしこの結果を分析すると、北杜市では「国道141号線改良案」が5割を超える支持がありました。国土交通省は「高速整備が多数の民意」を作りだすため術策を講じたのかもしれませんが、明らかに山梨県側は「国道141号線改良案」が民意と言えます。
道路紛争は行政不信から始まると言われています。まさにこのアンケートは不公正で不当なものであり、以来現在に至るまで問題でないとする国交省の姿勢は
社会的な審判を受けるべき事柄と考えます。
B 第2回アンケートでは、課題を解決するための目標について、山梨県側では「現道の走行性・安全性の向上」「環境・景観の保全」の選択が最も多く、北杜市民は「高速道路整備」を望んでいないことを示していました。
「災害時の代替え路確保」「生産品の輸送時間短縮」「救急医療施設への移動時間短縮」などの課題に対する効果を総合的に判断して「高速道路が有効」と結論づけた「中間とりまとめ」は、山梨県側では整合性がありません。
長野側は「高速道路整備」、山梨側は「一般道の改良」により、高速道路の広域ネットワークを完成させる事は、日本経済の低迷・人口減少社会の到来・更には東日本大震災という未曽有の国難を経て今後の日本の公共工事のモデルケースとなりうるのではないでしょうか。
アンケート結果を踏まえた「中間とりまとめ」は、山梨県側を「一部地域では」と表現し、全線を「高速が有効」と飛躍した結論を出していることはきわめて不当です。
更に「個々の意見を小委員会に反映させる事を目的としたアンケート」(石田委員長)に北杜市民の民意は反映されておらず、多額の費用と時間をかけて行ったアンケートの意義が無く、「アンケートの配付・集計方法の問題」以上の根本的な問題と言えます。
全国には不要、不急な道路や高速道路建設で、自然が破壊され、住民が立ち退きを迫られるなどで反対運動が行われ、また継続しているケースが沢山あります。
これらの道路運動から教訓や展望を学ぶため、「道路全国連」の橋本事務局長に講演をお願いしました。橋本さんは「高尾山の自然を守る市民の会」の事務局長もされ50万筆の署名を集め「高尾山天狗裁判」を闘うなどの奮闘をされています。大勢の皆さんのご参加をお待ちしています。
日 時 2013年9月8日(日)13:30〜16:00(予定)市役所西会議室で開かれた委員会には、国交省、山梨県、北杜市、各地区代表者、商工会・観光協会・農協の代表者19人が委員として出席しました。会議では、新ルートB案の決定を前提とした、1.中部横断道を活用した地域の活性化策、2.インターチェンジの場所、名称の検討、3.インターチェンジ周辺の活性化策、4.休憩施設や道の駅の活用策、5.環境や景観に配慮した、道路構造を踏まえた様々な施策、の検討が目的であることが明らかにされました。そして今後2年間を目途に検討を重ね、北杜市長に提言を行って活用検討委員会の役目を終える計画であることが示されました。
B案がまだ関東地方小委員会で決定されていないにもかかわらず、このような検討委員会を立ち上げ、B案を前提とした施策を検討するというのは、一体どういうことでしょうか。北杜市民に、中部横断道のB案はすでに決まったものだとする誤った情報を与えるものにほかなりません。北杜市は、新ルート案はまるで既成事実であるかのようにする検討委員会の開催は直ちに中止すべきです。
市は要綱で「中部横断道の整備を見据え、・・・地域の活性化に結びつける取組み等を・・・推進するためのまちづくりの構想を検討するため」この委員会を設置するとしています。
そして、7月16日(火)に第一回の検討会が開催されることになっています。
委員構成は、学識経験者3人、市民代表者8人(各行政区長会代表者)、各種団体代表者3人関係行政機関から3人、北杜市2人 となっています。
先日のワーキンググループの会合は、ルートはB案、付帯意見で「街づくりと高速道路整備が調和するように、継続的に住民の意見が聞けるような仕組みを作ってほしい」としていました。これに符合するのがこの委員会で、このように早く開かれるのもすべて下書きが出来ていたと判断されます。また早急に第1回を開催するのも、小委員会へのアリバイづくりとしか思えません。
私たちは、一貫して「地域に役立つ道づくり」を市民で考えよう、と提案してきました。それが一方的に上から「高速道路がどこを通るか」まで決められようとしています。
これでは、数十年前の高速道路の作り方と同じで、「ガイドライン」は何のためにあるのか
国交大臣に問いたださなければなりません。
また、この委員会は、住民の意見を聞くのであれば、少なくても5人くらいの公募枠を設けて構成しなければおかしいと思います。
@ アンケートの結果は「141号線改修」が山梨側では民意であること。
A アンケート用紙の配布と集計に「高速誘導」と疑われる、公正さを欠いた事実があること
B 10回の「地元説明会」では異論や質問が続出したが、「すべてワーキンググループに伝える」と一方通行の「説明」で終始。意見交換会など重ねての要望はすべて無視されたこと。
C このルート案は実質代替案のない提示のため、私たちには相対評価の機会がなかったこと。
D 国交省の「ガイドライン」に沿った「住民参画型の道づくり」を、説明会の当初から強く要望してきたが、取り上げてもらえなかったこと。
E 141号線は「危険、脆弱」とされ、改修は喫緊の課題となっており、走行性の高い「地域高規格道路」などで整備すれば二重投資が避けられること。
また、この「改修」でミッシングリンクが解消することは、国交省も認めていること。
F 災害時の代替道路は県道、市道、広域農道などが機能すること
G 南麓の雄大な景観や、清里の豊かな森の破壊など環境保全の時代に逆行していること。
国交省は私たちの上記の主張にこれまでまともに答えていません。
第3者機関である小委員会は、計画段階評価のプロセスを監視する機能があります。是非独自に検証して下さい。
ワーキングループのルート決定を受けて間もなく小委員会が開かれる可能性があります。まだ、その段階でないことを声を大にして言わなければなりません。
WGの際配布された資料では、この新ルートが発表されて以降(昨年11月)の国交省への「意見、要望」は1,670件です。このうち「事業が必要、不必要」約900件。必要だとする意見も約半数ありましたが、その内容は「20年余の念願だ」「・・・日本海を見たい」「命の道」などとスローガン的な推進論で、必要の中身に言及する意見はほとんど見られません。
そのほかの800件近い意見のほとんどは、この道路に懸念を示すもので、とくに「景観、環境」は242件、「コミニュケーションなど進め方に関する」意見が271件となっていて、この中の賛成意見は数件ずつにすぎません。
全体で7割以上が、この計画に疑問、反対を示し、国道を整備すれば目的を達成できるのに、巨費(1,600〜1,800億円)を投じて新設することを市民は納得していないことを表しています。
また、2回のアンケートや「中間とりまとめ」などに見られた、「高速ありき」に「誘導」ともとれる国交省の不公正な進め方、あるいは「説明会」のもち方を批判する意見も多数あります。
このような状況を、小委員会は認識され、解決のための話し合いの場の設定などあらゆる努力を示してもらいたいと思います。
第3回ワーキングループを傍聴、その報告と会議結果に対する批判など掲載しました。そのほか北杜市議会への請願は不採択となりました。しかし「意見交換会」をも否決する議員は否決理由をあげるのに無理やり、という感じでした。
ニュースはこのほか、「私はこう思う」を4人の方に書いていただきました。
※ニュース5号