第50回全国公害被害者総行動
6/25道路全国連 国交省道路局本省と交渉
第50回全国公害被害者総行動の一環として、6月25日に道路住民運動全国連絡会(道路全国連)による国交省交渉が、東京霞が関の経済産業省別館会議室で行われました。
当日は道路全国連から東京外環道(圏央道)、横浜環状南線、中部横断自動車道の問題に取り組んでいる3つの住民団体から12名が参加し、国交省本省からは国道・技術課の田村匡史係長、高速道路課の井関友則係長、企画課の原田駿平課長補佐が質問、回答に対応しました。各地で道路問題に取り組む各団体は事前に提出していた質問事項への回答について、住民が直面しているさまざまな問題点を指摘しながら国交省やネクスコの対応に関して鋭く追及しました。
明らかに住民の生活実態、地域実態を無視した
中部横断自動車道の都市計画原案の問題点を追及!
【中部横断自動車道の建設計画で当初示された3キロ幅ルート帯について】
沿線住民の会は、甲府河川国道事務所が最初に示した建設計画の概略地域である3キロ幅ルート帯では、新たにジャンクションを建設できる位置は1か所しかないのにあたかも3キロ幅の区間でどこでも建設可能であるかのように住民に提示したのは住民を欺くもので詐欺的やり方だと追及しました。
これに対して国交省は、「3キロ幅のルート帯に含まれる区間において縦断勾配が3%以下の区間は含まれています」としか答えられず、3キロ幅のルート帯のジャンクションの建設が可能な具体的な地点を聞いても返答できませんでした。
本来なら3キロ帯を提示したのは国交省ですから、どのような指摘や、質問などがあっても合理的で技術的な視点も加えて専門的な説明をしなければならない立場にあります。それができないのですから、今すぐ最初に戻って、これまで私たちが主張してきた建設計画の見直し、手続きのやり直しを行うよう求めます。
【都市計画原案の問題点について】
中部横断自動車道の都市計画原案では、「配慮ポイント」として検討すべき家屋等をルートが直撃し立ち退き対象となり、家屋の間際に高さ10メートルの盛土と防音壁が迫りくることになるなど多大な生活侵害等を被ることになり、結果、集落を分断するなど住民の生活環境に甚大な影響を与えることも明らかとなっています。これは甲府河川国道事務所が古い地図を使うなどして、激変している現地の状況を直近で把握することなくルート案を決定したことがその大きな理由としてあげられます。私たちは6月9日に国会議員と共に現地調査を住民参加で行った際にも、都市計画の原案と照らし合わせれば合わせるほど、山梨県、国交省は現地の実態に基づかないルート案を作成したことを実感しました。
都市計画の原案は令和元年の航空写真と地形図を基に作成した現地の
居住等実態等を 反映していない問題のある原案
国交省は「ルート案は令和元年に撮影した航空写真測量から作成した地形図を基にしつつ、現地調査などを行った上で作成しています」と回答しましたが、令和元年作成の航空写真を基に作成した古いデータによる地形図で、実際には現在の現地の住宅や事業所などの建物の配置図は作成しておらず、どのようにルートを決定したのかは不明です。また、現地調査を行ったと回答しながら、現地の住民からルートに関する意見を聴取したこともなく、国交省の回答は事実に反する説明を繰り返すだけでした。私たちは6月9日の現地視察でも、いくらでもルートの直撃を回避できる方策があることを確認しています。
また、ルート案の発表で大きな影響を受けている住民等への対応への質問に対しては「現在は都市計画・環境影響評価の手続き中であり、引き続き、県や市と連携して、地域の皆様のご意見を伺いながら、丁寧に対応してまいります」と一般的な回答をしたものの、甲府河川国道事務所や山梨県が住民の意見を全く聞かず、これまで出されている意見等の反映も事業責任者である国交省は山梨県任せで、ただただルート案を押し付けようとしていることを指摘されると、原田課長補佐は答えに窮し何も返答できませんでした。
住民等の生活環境にとまらず住民等の人生までもを破壊する都市計画
原案の撤回を!
都市計画原案の発表により、その決定の手続きやルート案の問題点が明らかとなっています。これは今回の国交省交渉でも更に明らかとなりました。国交省・山梨県には都市計画原案の撤回を求めます。
また国交省、山梨県にとまらず、地元自治体である山梨県北杜市がわれわれの仕事は説明会などの会場の確保、椅子並べ、来場者のための駐車場対応など「側方支援」だと言って住民等の生活、財産等が侵害されるのを見て見ぬふりをすることは決して許されないことであることをこの機会に肝に銘ずるように強く要請します。
6/15沿線住民の会ニュース78号を発行しました
国会議員が双葉JCT、須玉IC、長坂JCT分岐ルート案の
現地を視察
国交省道路局、関東地方整備局、甲府河川国道事務所総出で案内
今号は6月9日に行われた山崎誠衆議院議員の中部横断自動車道の現地視察の報告を掲載しました。現地視察は都市計画原案で公表された長坂JCT分岐ありきとするルート予定地だけでなく、国交省が検討していたにもかかわらず住民に公表せず比較評価の機会を与えなかった双葉JCT、須玉IC分岐のルート案も視察の対象としました。
航空写真を基に3つの分岐ルートを視察 ルート自体の見直しの可能性
2023年10月に山梨県が発表した都市原案のルート案に関しては、北杜市が主催した地区説明会や山梨県主催の公聴会などで対象となったり関係する住民等から数多くの厳しい指摘や批判的な意見、抗議の声が出されています。今回の視察はそれらの住民等の指摘等で明らかになったことを踏まえ、都市計画原案以外のルート案の可能性を確認して建設計画自体の見直しを再検討する機会となりました。
現地視察では同行した国交省道路局本省・関東地域の指導機関である関東地方整備局、甲府河川国道事務所の担当者が現地の航空写真を提示しながら地形の特徴について説明しました。実際の視察の結果、双葉分岐、須玉分岐のルート案は十分に建設可能であることが確認されました。
国交省は「双葉、須玉分岐案は不経済であり、コストがかかる」として長坂分岐案ありきで説明しました。しかし公共事業の建設計画では、そのコストを考慮することはもちろんですが、それ以上に長坂JCTの安全性の確保や住民等が安心に平穏にその地域で暮らしていけるように考慮することを優先すべきです。コストの名目のもとに高速道路の安全性や国民、住民等の生活が犠牲にされるのは、本末転倒と言えます。

国は事業予定者、山梨県は都市計画道路の指定を行う、北杜市は
側方支援!?
また、北杜市の2025年度4月人事体制を確認した際に、北杜市建設部として国交省と山梨県、北杜市の役割についてどのように確認しているのかを質すと、国は事業予定者、山梨県は都市計画道路の指定を行う、北杜市は側方支援!?が組織的な確認であるとする回答がありました。北杜市は中部横断自動車道の直接の現地であるにもかかわらず側方支援の役割でしかないとは、現地の住民等を置き去りにした回答以外ではありま せん。北杜市に側方支援について具体的に説明を聞き、報告記事を掲載しています。
5/31国交省へ都市計画原案に関する質問・要請書を提出
引き続き構造的な問題、危険性について指摘!
沿線住民の会では5月31日、国交省に対して都市計画原案に関する質問及び要請書を提出、車両とドライバー、乗員を危険にさらし走行の安全上重大な問題がある都市計画原案の道路構造上の問題点を指摘してその撤回を求めました。
2023年7月、国交省甲府河川国道事務所は中部横断自動車道(長坂〜長野県境)の「詳細ルート案」(事業予定者案) として16枚の図面を山梨県へ送付、都市計画決定権者の山梨県は同年10月にそのルート案をそのまま踏襲して都市計画原案として発表し説明会を開催しました。この都市計画原案には重大な問題があり、このことについて説明と回答を求めました。 このまま説明責任も果たさず「詳細ルート案」(事業予定者案)に基づき作成した都市計画原案ありきでの手続きを進めることは認められません。
4/10沿線住民の会ニュース77号を発行しました
今号は3月9日に北杜市大泉総合会館で行った甲府河川国道事務所との現地面談の報告を掲載しました。この面談では関係住民等が中部横断自動車道の都市計画原案による直撃を受けたり近接に盛り土や高架が迫るなど生活や事業、地域への深刻な影響について訴え、住民等のこれまでの意見が反映されていないことを指摘し、速やかに都市計画原案を撤回、変更するよう強く求めました。
また、昨年10月に沿線住民の会が甲府河川国道事務所へ提出した質問書への回答が5か月を経てやっと送られてきたこと、しかしその回答が質問にまともに答えず論点をずらしごまかそうとするものであることを指摘、抗議する文書も掲載しました。
更に、4月になって甲府河川国道事務所の中部横断自動車道の担当者が1年で交代したことを問題とする文章も掲載しました。沿線住民の会では甲府河川国道事務所との現地面談を2022年4月に7年8か月ぶりに再開しました。それ以来甲府河川国道事務所は毎年担当者を交代させ、中部横断自動車道の様々な問題点を全く知らない職員を配置する事態が続いています。これは住民等を軽視する全く無責任な対応に他なりません。甲府河川国道事務所に留まらず国交省本省道路局、指導機関である関東地方整備局の責任は重大です。
甲府河川国道事務所の無責任な対応
4/1またしても担当者が1年で交代
甲府河川国道事務所の中部横断自動車道の担当者がまた1年で交代しました。4月から新しい担当者が着任するということですが、これまでの15年にわたる中部横断自動車道の建設計画の経緯や山積している問題点を知らない担当者がどうすれば現地住民等や地域の実情に対応できるのでしょうか、これは全く無責任というべきものです。
沿線住民の会では2022年4月に甲府河川国道事務所と8年ぶりに面談を再開して以来中部横断自動車道の様々な問題を指摘し、その解決と建設計画の見直しを求めて話し合いを続けてきました。それ以降この4年の間、甲府河川国道事務所は毎年担当者を交代させてきましたが、この人事異動のやり方は誠意がなくまるで住民等を翻弄しようとしているかのようです。
3/9甲府河川国道事務所と現地面談を開催
3月9日、大泉総合会館にて国土交通省甲府河川国道事務所の有上悟副所長、横山浩保全対策官、他1名と北杜市住民約60人が参加し、3時間にわたり現地面談・質疑応答を行いました。
中部横断自動車道(長坂?山梨県境)は現在、都市計画道路として山梨県が都市計画原案を発表、昨年12月21日に公聴会を開催し、今後は山梨県が都市計画案を作成し審議会を開催する流れです。しかしながら環境影響評価や都市計画原案のルート選定、道路構造の計画も全て国土交通省が準備作成しているにもかかわらず公聴会にも出席していないため、住民の不安や疑問及び意見を事業予定者である国土交通省現地事務所に直接伝え、回答を聞く場として今回の現地面談を要請し実現することができました。
2/10沿線住民の会ニュース76号を発行しました
中部横断自動車道の詳細ルート案を作成した甲府河川国道事務所が、またしても住民に対して虚偽説明をしていたことが明らかとなりました。
1キロ幅ルート帯に関係する住民が家を新築する際に、ハウスメーカーの担当者が甲府河川国道事務所建設予定ルートに入っているか確認に行ったところ、甲府河川国道事務所の担当者が「建設は可能、問題ない」と返答したため建築したところ、「都市計画原案」の発表でルートが自分の家を直撃することになった事実が判明しました。住民はこれに納得がいかず、憤りを表明しています。
今号では他にも、昨年12月21日に山梨県主催で開催された中部横断自動車道の都市計画原案についての公聴会で住民が様々な問題点を指摘した発言や意見を掲載しました。また、前号でも取り上げた都市計画原案の危険な長坂JCTの問題点を道路構造令との関係で更に詳しく解説する文章や、中部横断自動車道の計画段階評価の当初示された3キロ幅ルート帯についても建設不可能な場所であったことが判明したことの記事も掲載しました。
是非お読みください。
2/6国交省本省のヒアリングを実施
沿線住民の会では2月6日、衆議院議員会館で山崎誠議員と共に国交省本省に対するヒアリングを行いました。国交省からは企画課道路経済調査室の原田駿平課長補佐他1名が出席し、山崎議員と沿線住民の会の質問に応答しました。
沿線住民の会から事前に質問書を提出しましたが原田課長補佐は納得できる回答・説明が出来ず、山崎議員も「私もわからないんで、図面を書いてきてくれないかな。実際の構造をどういうふうに理解するのか」と国交省に要求し、後日資料を用意して国交省が再度説明を行うこととなりました。
国交省への質問書
12/20沿線住民の会ニュース75号を発行しました
今号では冒頭で、山梨県が2023年10月に発表した中部横断自動車道の都市計画原案の長坂JCTの建設設計案の危険性が、沿線住民の会の精査により明らかになったことを取り上げました。長坂JCTの設計が道路構造令に違反しており、このまま建設されることが許されないものであることについて詳しい説明を掲載しました。車両の安全と運転者、同乗者等の生命を大きな危険にさらす長坂JCTの建設計画は、それ故直ちに撤回する必要があります。
さらに原案を検討する際に当然ながら配慮ポイントとされなければならない住宅等・生活に甚大で深刻な影響がもたされることなどについて、今後も国交省や山梨県、地元自治体の北杜市が真摯に関係住民等との面談・意見交換を継続することを求めていきます。
また、現在の中部横断自動車道都市計画の原案の基になる1キロ幅ルート帯が検討されていた時期に国交省への情報開示請求により2017年3月22日開示された文書から、本来なら比較評価の複数案として住民等に提示されなければならなかった中央道の分岐部「双葉JCT付近」「須玉IC付近」を想定したルート案があったこと、その関連図とそれに関連する資料として山梨県ホームページ上に掲載されていた図面つき記事(2016年9月13日)など住民等に提示されなかった「消されたルート案」について改めてお伝えしています。
山梨県と国交省、北杜市はいまだに9月13・14・16日の北杜市主催の道路事業範囲の地区説明会時の議事録を公開もせず、地区説明会で出された住民等の意見の取り扱い等の検討するための行政調整会議も開催もせず、建設計画の手続きを進めていることなど、12月21日の公聴会の開催強行までの経緯と問題点を明らかにする報告も掲載しました
是非お読みください
北杜市長選挙に中部横断道に反対の候補者が立候補
2024年11月に北杜市では市長選挙が行われましたが、これまでではじめて「中部横断自動車道の八ヶ岳南麓での建設に反対」を公約に掲げる候補者が立候補しました。
歴代の北杜市長は中部横断自動車道の様々な問題点を全く理解することなくただ「建設推進」を唱えてきました。また市長選挙への立候補者でもこれまで中部横断自動車道の建設反対を公約に掲げた候補者は一人もいませんでした。そのような状況の中で、今回、いのはら弘子氏が「建設反対」を掲げて立候補したのは画期的なことです。
いのはら氏は、様々な住民運動へのかかわりの中で、北杜市、山梨県、国交省が住民の意見を一切聞かず、施策にも反映させようとしない対応に直面させられて、山梨県民、住民の意見が反映されるよう、地方自治体として必要性の再検討も含め、「地域の意見を聞く仕組みづくり」を進め行政を変えようという気持ちで立候補したと表明しています。
中部横断自動車道の八ヶ岳南麓での建設計画に関しても、国交省をはじめとする行政機関が1キロ幅ルート帯案を住民に押し付け、住民の意見を一切聞こうとしない対応を批判し、住民の意見をよく聞き意見交換するよう求めています。八ヶ岳南麓では多くの住民等が高速道路建設に反対していますが、その声を代弁することとして今回の市長選挙への立候補は大変大きな意義があると思われます。
選挙では残念ながら落選しましたが、それでも4344票を獲得し、中部横断自動車道の建設に反対する多くの住民等の存在を示すことができました。