中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会





「中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート北杜市民の会」のフェイスブックでの発信内容について沿線住民の会へお問い合わせがありましたが、当会はフェイスブックでの情報発信は行っていません。「中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート北杜市民の会」は別団体ですので、お知らせします。

「中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会」に参加しませんか?

SAVE SOUTHERN YATSUGATAKE


7/19国交省が山梨県へ送った文書が開示

16枚の図面がすべて完全黒塗り (2023.8.15)


 沿線住民の会では7月20日、国交省が7月19日に山梨県へ送付した「詳細ルート案」の開示請求を行いました。8月2日付けで「行政文書一部開示決定通知書」が送られてきたので、開示手続きを行い文書が開示されました

 全16枚の図面が完全黒塗り! これで「情報開示」と言えるのか!

 一部開示された文書は、「中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の都市計画決定について(提供)」とした送付文のみで、詳細ルート(事業予定者案)に関する@平面図A縦断図B標準横断図の16枚の図面はすべて完全黒塗りでした
 開示しない理由として「当該部分に記録されている情報は内部で検討中の事業に関する情報であって、具体的な事務処理手続きが終了していない未成熟の情報であり、これが公になることにより、確定的情報と誤解され、不当に県民の間に混乱を生じさせたり、外部からの干渉、圧力等により率直な意見交換、意思決定の中立性が損なわれたりするなどの支障が生じるおそれがあると認められることから、山梨県情報公開条例第8条第5号にあたり、不開示情報に該当する」としていますが、全く不当な言い分です

 速やかに情報を全部開示し、説明を尽くすことを求める

 中部横断自動車道の建設計画が強行されれば、環境、景観、生活面への影響と、当然ながら地域環境の激変・消失、衰退を招くなど関係住民等に大きな影響・深刻な被害を与えることが懸念されます。更に本建設計画には都市計画地域ではない北杜市にあたかも都市計画があるものとして手続きが強行されていますので、その地域に住む住民にとっては建築制限などの影響も心配されます。それなのに情報を秘匿・独占し住民等には一切知らせないというのは、住民の知る権利をはく奪し、ないがしろにした極めて不当な対応です
 山梨県、国交省には住民等に対して速やかに情報を全部開示し、説明を尽くすよう求めます


1枚目



2〜17枚目




8/10 ニュース67号を発行しました  (2023.8.14)


 国交省は7月19日、中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の1キロ幅ルート帯の詳細ルート案(事業予定者案)を山梨県、長野県へ送付したことを発表しました。国交省へは7月11日の本省道路局交渉の場で質問を行い、まだ交渉中であったにもかかわらず、突然詳細ルート案の送付を強行したのです。これは国民、住民を裏切る行為であり、沿線住民の会では直ちに国交省に対して厳重に抗議しました。

 今号では1面にそのことについての文章を掲載しました。また、この間沿線住民の会が国交省や地元自治体に対して行ってきた都市計画手続きの問題の指摘、質問書等を通じて質してきた内容とそれに対する国交省からの回答も併せて掲載しました。これらを読めば、これまでの国交省の虚偽説明と、国交省がいかに山梨県からの協力依頼を口実にして法律を逸脱して手続きを強行してきたかがはっきりわかります。八ヶ岳南麓での高速道路建設計画の見直しと計画段階評価のやり直しの必要性はますます明らかとなっています。
 さらに、情報開示請求で公開された、国交省が3社のコンサルタント会社に委託して作成したR3峡北地域環境影響評価他検討業務報告書の内容の黒塗りをぬっての点検作業から発覚した地元自治体の北杜市に関連することについて、北杜市へ質問書を提出し、回答を受けた内容についても報告記事としました。

 また、ストップ・リニア!訴訟が、7年の歳月と25回の口頭弁論を経て7月18日に判決が言い渡されました。沿線住民の会ではリニア沿線住民の方々と共にずっと裁判の傍聴活動等に取り組んできましたが、判決は法の解釈をねじ曲げ原告の主張を全面否定する不当判決であり、怒りを禁じえません。この裁判の報告とリニア訴訟の原告団の声明も掲載しました。川村晃生編著「リニアはなぜ失敗したか」(緑風出版)の書評も掲載しています。
是非お読みください。
ニュース67号




国交省、中部横断自動車道(山梨県側)の都市計画に関し

「都市計画の手続きは山梨県が実施する」と態度一変の

回答  (2023.8.3)


 沿線住民の会では5月30日、(仮称)韮崎都市計画道路1・4・1号双葉・韮崎・清里幹線(中部横断自動車道)の都市計画に関し3点の質問書を国交省へ提出しました。その回答が提出期限の6月14日から1ヵ月半も遅れて7月31日の日付でようやく送付されてきました。甲府河川国道事務所が回答案を作成し、関東地方整備局との間でその内容を確認していたようですが、今回は道路局本省企画課が時間をかけて回答内容を確認、どのような回答内容にするか、考えに考えたようです。
 しかし長期間を費やしたにもかかわらずその回答は、これまで平然と言っていたことを覆し弁解に終始したものであきれるばかりです。

国交省はどのような都市計画決定の資料を送付したのか明らかにすべき

 質問の1点目は、山梨県が都市計画決定権者として作成しなければならない都市計画案を甲府河川国道事務所が代行して作成していることに関し、法律の趣旨を逸脱する行為であり、中止を求めたものです。
 そもそも山梨県は都市計画を作成する立場にありながら、その業務を国交省甲府河川国道事務所に丸投げしました。そして甲府河川国道事務所が作成した都市計画案を受け取って名称だけを変更し、さも山梨県が作成したように装って住民や県民へ提示しようとしていると思われることが明らかとなりました。これはいわば、試験で回答を他の人に書いてもらい名前だけ書き替えて提出するのと同じような行為です。法律に逸脱しているかは国交省と山梨県とのこれまで及び現在のやり取りに加え、情報開示された様々な調査報告書の更なる検証が必要かと思いますが、社会的な不正行為として問題とされるのは明らかです。
 申し入れ書では、都市計画法に基づくものではない、山梨県のこのような社会的な不正行為への協力要請に国の機関である国交省が加担しないよう求めました。

  これに対し国交省は「令和元年5月22日に山梨県知事から事業予定者である関東地方整備局長へ協力依頼があり、事業予定者として環境影響評価、ルート・構造の検討など、必要な協力を行うものであり、都市計画に基づく手続きは山梨県が実施すると認識しております」と回答してきました
 しかし7月19日に国交省関東地方整備局長名で山梨県に送付した文書の表題には「中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の都市計画決定について(提供)」と書かれていることを確認しており、環境影響評価、ルート・構造の検討にとどまらない内容のものが含まれていることが推測されます。

 国交省が社会的な不正行為となるような山梨県への協力依頼に応じ
 ないよう今後も注視、監視を継続

 国交省は今更になって「都市計画法に基づく手続きは山梨県が実施する」と回答していますが、当初、沿線住民の会が都市計画案に関して指摘し説明を求めた際に甲府河川国道事務所調査課の大和田宜雄地域防災調整官は平然と「山梨県の協力依頼で行っている。ご意見として聞いておきます」と明言していた経緯があります。沿線住民の会ではすでに国交省が山梨県の都市計画作成に関与しようとしていた動きを把握していましたが、今後も山梨県が県民に知らせないままに密かに社会的不正行為に類する対応をするかもしれませんので、国交省がそれに加担することの無いようしっかりと注視していく必要があります。

 今すぐ国交省は詳細ルートに関して県民、地元住民へ丁寧な説明を行え

 現地の関係住民は、八ヶ岳南麓での環境影響評価の現地調査の中止を求め国交省道路局本省と交渉している最中に突然、国交省が山梨県へ都市計画決定に関する文書を送付したことに多くの疑問と不安、怒りを抱いています。ましてやルートの決定は都市計画決定権者として名乗りを上げた山梨県が行うことになっているのに、今の段階で国交省が山梨県への詳細ルートを送付というやり方で発表したことは断固認めることができません。国交省は山梨県へ送付した文書の内容を直ちに関係住民へ明らかにするとともに、ルート検討内容について説明するよう求めます。

 現在、国交書には以下のことを求めています。
●今すぐ国交省は7月19日に山梨県に送付(提供)したルート案(事業予定者案)、図面等 を住民等に公開すること
●早急に関東地方整備局と甲府河川国道事務所は現地、北杜市八ヶ岳南麓へ来訪し、山 梨県に7月19日送付した図面等を示し、住民等へ説明を尽くすこと
●国交省本省道路局は沿線住民の会からの7月11日要請に引き続き、要請継続のための 態勢を整え、再要請に対応すること

5.31都市計画に関する申し入れ書の回答書



7/19 国交省 中部横断道(長坂〜八千穂)の詳細ルート(事業予定者案)を山梨・長野県へ送付  (2023.7.22)


 7月19日、国交省は山梨県、長野県に対して中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の1キロ幅ルート帯のルートに関する事業予定者案を送付しました。
 
 国交書本省道路局への要請継続中に山梨県へ都市計画に関する
 図面送付を強行

 沿線住民の会では7月11日、道路住民運動全国連絡会と共に国交省道路局に対して要請を行いましたが、その要請事項については継続案件となっています。更にこの間、甲府河川国道事務所に対しては環境影響評価の現地調査の問題点を具体的に指摘してやり直すよう要求してきました。また、都市計画決定権者の山梨県が行うべき都市計画案の作成を国交省が代わって行っていることに関しても、国交省は法を逸脱しており地元自治体の責任をあいまいにさせる都市計画案の作成を代行することは行わないよう何度も申し入れを行ってきました。
 しかし国交省はそれらの質問や申し入れについて的外れの回答を行ったり、回答期限を過ぎてもまだ回答出来ないでいるにもかかわらず、都市計画に関する文書(ルートに関する事業予定者案)を山梨県、長野県に送付するという暴挙に出ました。沿線住民の会ではすぐに国交省本省企画課(粂野信一郎専門官)、関東地方整備局道路計画第1課高坂祐一課長補佐)、甲府河川国道事務所(大和田宜雄地域防災調整官)へ厳重に抗議しました。
 書類を送付した国交省関東地方整備局の高坂祐一課長補佐に送付文を質したところ「中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の都市計画決定について(提供)」という名前で送付したとの回答がありました。このことから、今回送付された文書は都市計画に関する資料であることは明らかです。

 国交省が山梨県、長野県へ送った詳細ルートの事業予定者案は、建設計画が4車線の高速道路であるため幅が20〜50mのルート案の可能性があります。山梨県はこの送付を受け、都市計画決定権者として事業予定者案を都市計画との関連で検討してルート案を作成する算段で、それに合わせて年内にも都市計画の原案を提示して住民説明会を開催したいとしています。

 杜撰な環境影響評価の調査でなぜルートの検討ができるのか!

 しかしこの間明らかになったように、国交省が行っている環境影響評価の現地調査は、例えば現在は住居が多数存在する地域であるにもかかわらず、まだ人が住んでおらず住居もなかった40年も前の地図を検討の資料とするなど、指摘すればきりのない杜撰なものです。国交省の現地調査ともいえない「調査」は現地の実情を全く把握していないだけでなく、環境影響評価が目的とする自然、景観、生活環境等に与える影響を予測するにはほど遠い全く不十分なものです。国交省は杜撰な環境影響評価の調査結果に基づいて詳細なルートを設定しようとしていますが、そのようなものに基づいてルートが決められるはずはありませんしそれが認められるはずもありません。。
 私たちはこれからも杜撰な環境影響評価の調査のやり直し、道路行政手続きのやり直しを国交省へ強く求めていきます。


7/11 国交省道路局本省と交渉

甲府河川国道事務所の当時の担当者の虚偽説明を追及!


 道路住民運動全国連絡会では、例年実施している公害被害者全国総行動の一環として7月11日に道路局交渉を国交省本省の会議室で行いました。当日はこれまで道路問題に取り組んできた横浜環状南線、東京外郭環状道路の住民とともに沿線住民の会も参加し、国交省に対して質問を行いました。

 国交省の虚偽説明・詐欺的なやり方への説明を求める

 沿線住民の会からは2点の問題に絞って質問を行い、国交省の回答を求めました。
質問は1.2012年10月の関東地方小委員会の前に当時の甲府河川国道事務所の小林事業対策官、宮坂計画課長が、八ヶ岳南麓での高速道路建設に反対していた住民団体に対し「新ルートは八ヶ岳南麓を通らない」と虚偽の説明を行い、「詐欺まがいのやり方で著しく透明性・公正性を逸脱し中部横断自動車道の建設計画手続きを強行してきたことに対する国交省の説明と回答を求めた」ものです。
 質問2.は国交省が2022年2月に実施した両名に対するヒアリングで、小林元事業対策官は新ルート帯の設定に際して「1km幅のルート帯(案)を3km幅のルート帯(案)の内側で設定したという趣旨での説明は行っていない」と回答したとしていることに関し、沿線住民の会との意見交換会で小林元事業対策官が「新ルートは3キロ幅とまるで違うところにもっていったという認識はない」と発言していることとの矛盾の説明を求めたものです。

 しかし対応した企画課の野村課長補佐はこれらの質問に真正面から答えようとせず、必死に問題をはぐらかそうとしました。1の住民への虚偽説明については、「まず一つ目につきまして、これも当時の2012年10月の関東地方小委員会のお話になるかと。これまで何度もですね……これにつきまして、私も勉強させて頂いて、10月4日の当時の小委員会の件ですけれども、これ当時の資料も拝見させていただきましたが、今後しっかりワーキングを起ち上げてルートに関してしっかり、当然地域のコミュニケーション活動も踏まえながらルートをしっかり取りまとめをしていこうということを当時の10月4日の小委員会で確認していると認識している」と、質問と全く別の説明をするのでした。
 2の質問についても、沿線住民の会で甲府河川国道事務所との意見交換会の録音を再確認して小林元事業対策官の言っていることが事実と違うことを指摘しているにもかかわらず、「そこで1キロ幅のルート帯というものが、3キロ幅のルート帯の内側で決定をしたということ、今回の論点ととなっているところでございますけれども、そういった趣旨での説明というものは行っていないということを確認しているというところでございます」と小林元事業対策官の弁明をそのまま繰り返すだけでした。

 計画段階評価の手続きに重大な瑕疵があることは明らか

 国の機関である国交省の職員が、高速道路建設にあたり住民に虚偽説明を行ってダマすという詐欺的な手法で建設計画を強行してきたことは、これまで沿線住民の会で何度も指摘してきましたが、そのことについて国交省本省道路局の課長補佐すらも何も反論できないということが、この問題の重大さを表しています。これは高速道路建設手続きにおける甚大な瑕疵であるだけでなく、公共事業そのものへの国民の信頼を根底から揺るがすものにほかなりません。
 国交省は建設計画を強行するまえに、まずこれらの問題を真摯に受け止め、問題解決のために尽力することが求められているのです。
7.11国交省への質問書



国交省 環境影響評価の現地調査と手続き等を強行!

路線選考の「主要なコントロールポイントの考え方」に重大な瑕疵があることが判明 (2023.6.30)


 沿線住民の会では、国交省甲府河川国道事務所が「R2峡北地域環境影響他検討業務報告書」としてまとめた路線選考の際の「主要なコントロールポイントの考え方」に関する部分に極めて重大な瑕疵があることが判明したため、2023年2月27日に国交省に対して(仮称)韮崎都市計画道路1・4・1号 双葉・韮崎・清里幹線の環境影響評価の現地調査に基づく「主要なコントロールポイント」に関する質問書を提出しました。
その回答が、ようやく6月15日に郵送で届きました。甲府河川国道事務所が現在行っていることへの質問なのに、なぜ3か月半もの時間を要するのかはなはだ疑問です。

 甲府河川国道事務所の回答は、2019年の環境影響評価の方法書に書かれている通りというもので、沿線住民の会の質問にまともに答えようとしない不誠実なもので、回答自体も自己矛盾しています。

「環境影響評価方法書」には主要なコントロールポイントを検討する場合は配慮事項として地域特性や「土地利用(住宅地・集落、別荘地、農地)への配慮」が重要とされています。甲府河川国道事務所が行った現地調査の報告書に記載されている内容は中部横断自動車道の建設対象地域に存在する住宅地・集落、別荘地、農地等を全く把握していないという沿線住民の会の指摘に対して、「方法書」に記載されている通り確認しているという内容ですが、地域特性や実態に全く反するものです。事業予定者である国交省が3か月半もの時間を費やしながらもその回答に重大な瑕疵があったことについて、看過できるものではありません。

 現地の調査を行ったはずなのに、なぜ中部横断自動車道の建設予定地域の八ヶ岳南麓の1キロルート帯の中に住居は存在しないという調査報告書が出されるのでしょうか、甲府河川国道事務所ににとどまらず関東地方整備局、国交省本省道路局には環境影響評価方法書の検証と現地調査のやり直しを強く求めます。

コントロールポイントに関する質問書

コントロールポイントに関する回答書



6/10沿線住民の会ニュース66号を発行しました


 今号では最初に高速道路の有料料金を2115年まで50年間延長する道路整備特別措置法などの改正案が今国会で可決・成立し、6月7日に公布されたことを受け、高速道路料金の永久化は無謀な道路建設のつけとする記事を掲載しました。

 現在国交省は、八ヶ岳南麓での環境影響評価方法書に基づくとして多岐にわたる問題を無視して現地調査を強行しています。更に国交省甲府河川国道事務所は山梨県からの「協力依頼」を受けたとして山梨県が作成しなければならない都市計画(案)、説明会資料、更には環境影響評価準備書(案)、関係機関との協議資料等までも作成しています。これらは全て民間コンサルタント会社3社が行っており、その結果地域の実態に加え、八ヶ岳南麓の地域特性、世界かんがい施設遺産に登録されている「村山六ヶ村堰疎水」への配慮、甲武信ユネスコパークに係る影響、八ヶ岳南麓風景街道への影響などに関する調査・評価などが現地報告書からは伺い知ることさえできません。

 山梨県は中部自動車建設計画を進めるに際して都市計画地域ではない北杜市も含めて都市計画を持ち出したのですから、長崎幸太郎山梨県知事は「都市計画決定権者」として責任ある対応が求められるはずです。しかし、現実にはそれを国交省に丸投げしました。山梨県は国交省が作成した都市計画をあたかも自分たちが作成したように装って県民等へ公表するつもりでいることは明らかです。これは明らかな不正行為で、「都市計画決定権者」としては正当性を逸脱する行為です。現在、沿線住民の会が国交省に情報開示請求を行ったR3峡北地域環境影響他検討業務報告書が開示されましたので、引き続き検証を行い、質問書の提出、要請行動を取り組みます。

 今回は5月31日付の国交省への都市計画に関する申し入れ書の全文を掲載し、突然「都市計画」を持ち出した山梨県知事、山梨県庁の問題等について報告記事としました。
 是非お読みください
ニュース66号



5/31国交省へ都市計画の作成を止めるよう申し入れ


 山梨県は「(仮称)韮崎都市計画道路1・4・1号双葉・韮崎・清里幹線(中部横断自動車道)」の環境影響評価の現地調査を甲府河川国道事務所に依頼して建設計画を強行していますが、それと並行して進めるはずの都市計画の手続きでは、2019年5月に突然都市計画を持ち出したものの肝心な都市計画案について4年間経った現在でもいまだに明らかにされていないという始末です。

 都市計画の決定は、憲法で保障されている国民の財産権を侵害するおそれがあるため厳格な手続きが定められています。そういう都市計画を持ち出しながら、その前提となる案について未だに示すことができない状態が続いていることは行政の怠慢以外ではなく、そのことによって都市計画の対象地域の住民等は非常な不利益を被っていることを声を大にして言わなければなりません。しかも、その都市計画の原案を、都市計画決定権者である山梨県ではなく国交省甲府河川国道事務所が作成していることが判明しました。地域の状況を詳しく把握しているはずの都市計画決定権者の山梨県ではなく、なぜ国交省が都市計画の資料等を作成し、実質的に都市計画案を作成しているのか大変疑問です。 

 そのため沿線住民の会では5月31日、国交省に対して山梨県が行う業務である「(仮称)韮崎都市計画道路1・4・1号双葉・韮崎・清里幹線(中部横断自動車道)」の都市計画決定の資料の作成等の作業の中止を求める申し入れ書を提出し、書面での回答を求めました。


2023年5月31日

国土交通大臣 斎藤鉄男 様

国土交通省道路局長 丹羽克彦 様

国交省関東地方整備局道路部長 松本健 様

国交省関東地方整備局甲府河川国道事務所長 留守洋平 様

               中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会

 国交省が事業者として進めている中部横断自動車道(長坂〜八千穂)の建設計画に関し、山梨県は2019年5月22日、国交省関東地方整備局長あてに「都市計画法に基づく事務手続きを行うこととした」という文書を送付し「環境影響評価法に従い、都市計画決定権者が環境影響評価の手続きを進めることとなる」と通知しました。そして山梨県は環境影響評価法第46条に基づき事業者である国交省に対して環境影響評価の現地調査の協力依頼を行い、現在、国交省甲府河川国道事務所が現地調査を行っているところです。その環境影響評価の手続きと並行して山梨県が行うこととなる都市計画手続きに関し、都市計画法では都市計画が複数の市町村にまたがる場合には都道府県が都市計画案を作成すると定められているにもかかわらず、現在その都市計画の資料等を都市計画決定権者の山梨県ではなく甲府河川国道事務所が代わって作成していますが、これは法を逸脱する行為に他なりません。

 中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会(以下、沿線住民の会)ではこのことに疑念を抱き、山梨県に対して甲府河川国道事務所へ都市計画決定の資料や説明会の資料作成を依頼し実質的に都市計画案を作成してもらっている法律的な根拠を問い合わせました。山梨県都市計画課はこれに対して2023年4月4日、「法律に基づくものではなく……都市計画決定を行うために必要となる資料の提供等を、事業予定者である国土交通省に協力依頼しています」と文書で正式に回答しました。山梨県が都市計画に関して国交省に行っていた協力依頼には法律の裏付けのないことがこの回答で明らかとなりました。

 山梨県のこのような協力要請を受けて、国交省は2021年4月に民間企業であるパシフィックコンサルタンツ(株)に対して都市計画決定資料の作成を委託しました。しかしながらこの会社が標記の都市計画道路にかかわる甲斐市、韮崎市、北杜市の現地の状況を地元自治体である山梨県よりも詳しく把握しているとは到底考えらません。都市計画決定の資料等は当該自治体が作成してはじめてその正確性、妥当性が保証されるものと言え、それ故、委託先のこのコンサルタント会社が作った都市計画決定の資料についてもその信ぴょう性に大きな疑問があることは明らかです。

 沿線住民の会では2023年5月18日、甲府河川国道事務所に対して地方自治体が行う都市計画案や資料等の作成を国交省が代わって行っているのはおかしいとその理由を問い合わせたところ、担当者の大和田宜雄地域防災調整官は「山梨県の協力依頼で行っている」と返答しましたが、その協力依頼が法律に基づくものではないことを認めました。沿線住民の会では「山梨県の都市計画に関する協力依頼は法律に基づくものでないのだから、国交省が公金を使ってそれに協力するのは法律を逸脱している。都市計画決定に関する資料の作成などの作業の中止を求めます」と要請したところ、大和田地域防災調整官は「必要だからやっている。必要なものは法律に基づいていないものでもやります」と回答しました。

以上の経過から、次の事項を国交省に申し入れます。

1.都市計画決定及び都市計画案の作成は都市計画法で自治体の業務と定められています。従って国交省が自治体に代わって都市計画の資料等を作成するのは法を逸脱しているだけでなく、計画予定地の地元自治体の責任をあいまいにするもので、その自治体の不作為を助長することにもなり国としてやるべきことではありません。

 また国交省甲府河川国道事務所は地元自治体の山梨県ほど地域の特性や現地の具体的な実情を把握しきれていないのが実情であり、都市計画作成の業務を民間のコンサルタント会社へ委託・代行させるならば建設計画予定地の国民、県民らは更に不利益を被ることになります。このような事態は公共事業の在り方、道路行政の手続き上、法治国家として許されるものではありません。国と自治体の正当性・透明性のある関係性を取り戻すことが必要です。それ故国交省甲府河川国道事務所が行っている、標記の都市計画道路に関する都市計画決定の資料の作成等の作業を中止することを求めます。

2.山梨県は地元自治体としての責任をあいまいにして、本来、都市計画決定権者としての山梨県が検討・作成すべき都市計画案や準備書案の資料作成までも国交省に「協力依頼」という名目で丸投げしています。国交省は適正な手続きを経ないで得たこれらコンサルタント会社委託の成果物を、山梨県に提供することのないよう求めます。

3. 民間コンサルタント会社へ繰り返される契約更新で、多額の税金が使われ続けている事業実態があります。法律に基づかない山梨県の協力要請による税金の不適切な支出を止めるよう求めます。

なお、この申し入れに対して文書での回答を6月14日までに求めます。


4/10ニュース65号を発行しました (2023.4.21)

 
3月28日、昨年9月12日に行われた国交省本省道路局交渉の際に提出した質問書への回答がようやく送られてきました。
 回答は、沿線住民の会のが指摘した当時の甲府河川国道事務所の小林達徳事業対策官が住民団体に対して行った虚偽説明等について全く答えようとしないだけでなく、これまでの国交省の釈明を繰り返すだけの不誠実なものでした。これでは質問への「回答」と言えるものではありません。このような国交省の姿勢は、中部横断自動車道の山積する問題点の解決につながるどころかますます深刻化させるもので、強く抗議するものです。
 今号には、この国交省本省道路局の「回答」の主要な部分を掲載しました。
是非お読みください。
ニュース65号



2/10ニュース64号を発行しました (2023.2.17)


 今号では現在強行されている(仮称)韮崎都市計画道路1・4・1号双葉・韮崎・清里幹線(中部横断自動車道)の環境影響評価の現地調査に関して、その実態を確認するため昨年11月17日に実施主体の国交省に対して行った開示請求でようやく1月23日に調査報告書約1400ページの文書が開示されたので、その内容について精査を開始し、第一段の報告記事を掲載しました。
 また、既存の高速道路の老朽化、維持管理等対策等の費用増大に関連して通行料金の有料化を通じた国民負担への転嫁の問題を取り扱いました。

 そして見逃してはならない動きとして、環境省が東京電力福島第一発電所の原発事故で出た放射能汚染土を福島県外で再利用する実証実験の説明会を各地で開催し、当該住民らが抗議行動を行ったことや、八ヶ岳南麓で建設計画が強行されている中部横断自動車道の建設工事でも放射能汚染土が使用される可能性について警戒が必要という記事を掲載しています。
 ほか、2月3日のストップ・リニア訴訟の最終弁論の報告も掲載しました。判決は7月18日に行われるので、注目が必要です。
 今月号の最終ページの囲みの「話題」の記事もご覧ください。中部横断道建設計画地元自治体の上村英司北杜市長が「市長と語る会」で実際と違う誤った発言をしたことについて、当日市長へ説明を求めた事項について今後も引き続き北杜市の関係課へ説明を求めていきます。
ニュース64号