沿線住民の会も出席
8/20山崎誠衆議院議員が国交省をヒアリング
8月20日、立憲民主党の山崎誠衆議院議員は国交省本省道路局企画課・原田駿平課長補佐を事務所に招き国会議員ヒアリングを行いました。沿線住民の会より3名が同席しました。これは6月9日に山崎誠議員と共に行った道路計画地の現地視察で、議員が地域住民と直接会話をした際に公聴会の案内が郵送されず意見公述の機会を奪われた住民や別荘所有者等がいる事に関し非常に問題があるとの認識から、国交省道路局より問題解決のための説明を求める為にヒアリングを開催したものです。
約1時間半にわたるやりとりでは、沿線住民の会からも公聴会の在り方や住民や別荘所有者等への周知の不足、加えて計画内容の妥当性や安全性等、事業計画の進め方に多くの問題があり、そもそも13年経過した現在も事業が進んでいない現実を国交省自ら疑問を持ち、再検証をしてほしいと繰り返し強く要請をしました。
公聴会の周知不足を追及追加開催を求める
まず取り上げられたのは、公聴会の周知不足についてです。昨年12月、山梨県主催で開催された公聴会では、案内が郵便で届かなかった地域があり、一部住民は傍聴や意見表明の機会を失いました。郵便局の不備についての謝罪文も出されましたが、基本的な問題として「地域に必要な情報が届いていない」「重要な情報の周知が徹底されていない」という事実が浮き彫りになりました。
私たちが当事者として13年取り組みを続けてきた中で、いまだに都市計画のルートが直撃する地域住民ですら「自分が計画区域に入っていることを知らなかった」というケースが少なくありません。国交省、山梨県は「都市計画法には郵送しなければならないとは書かれていない。手続き上、再度公聴会を行う予定はない」とし、説明不足があれば個別対応も検討可能と答えましたが、沿線住民の会からはこの計画が国民の財産と生活を奪う計画である以上、公聴会の追加開催は当然のことで検討するよう求めました。
沿線住民の会からは、国交省が平然として「報道発表や広報誌で周知した」と言っているが、当該地域には別荘所有者も多く存在する事、行政区に加入している住民も大泉町では4割程度、北杜市全体でも平均で6割程度であり、実際には別荘所有者はもとより北杜市の全世帯にも情報が届いておらず、地域住民の情報格差の問題が解決されていない現状を指摘し、周知徹底を図るよう訴えました。
長坂JCTの危険性を指摘
次に指摘したのは、道路計画に関わる技術的な問題と安全性の確保の問題です。住民側からはジャンクション計画に伴う「織り込み距離」の不足や、安全性への懸念が示されました。これに対し国交省は、ネクスコの設計要領に基づき必要な距離を確保していると説明しましたが、具体的な根拠や設計要領等への理解が十分に共有されていないことが地域に不信感を与えているのが現実です。沿線住民の会としても通行や運転者等の安全性の検証のため「道路設計図に関する第三者委員会の設置」を強く求めました。
また、山崎誠議員からは「法律上の手続きに形式的に従うだけではなく、住民に不利益が生じないよう丁寧な対応が求められる」との指摘がありました。
今回のヒアリングを通じて改めて明らかになったのは、住民と行政の間に大きな考え方の相違が存在すること、また13年の時間の経過とともに国交省の担当者でも詳しい経過を理解している職員がいない事が明らかになりました。国交省が「丁寧な説明をする」と口にするのであれば、形式的な説明会告知手段にとどまらず、真に住民に届く手段を講じることが不可欠です。
8/10ニュース79号を発行しました
今号では政府の国土強靭化計画を取り上げ、老朽化する社会インフラの維持・整備より新たな道路建設、ミッシングリンクの解消等の新たなインフラの建設に重点が置かれて進められている問題点を明らかにする文章を掲載しました。
また、昨年12月に山梨県が開催した都市計画原案に関する公聴会の案内が関係住民等の地域に届いていなかったことを事前に把握していたにもかかわらず、国交省や山梨県がそのまま開催していた問題について、現時点での調査結果を報告する記事
もを掲載しました。この問題については取り組みを継続します。
是非、お読みください。
国交省 都市計画原案の説明を一転二転させる事態
もはや長坂JCT建設の問題点の言い逃れは破綻!
都市計画原案(詳細ルート案)の撤回を求める要請書を7/1国交省へ提出
沿線住民の会では2023年10月の都市計画原案の発表以来、それが住民の生活や事業者等の生業、建設計画地域の営み等に重大な影響をもたらすことを指摘してきました。更に、道路建設では決定的に重要な問題である車両の走行や乗員の生命にとり非常に危険で、道路構造令にも違反することを指摘して都市計画原案の撤回を求めてきました。これらの問題点は、この間の再三にわたる国交省への要請、質問のやり取りでますますはっきりしてきました。
国交省 国の基準の道路構造令に反して当初はネクスコの設計要領の 「絶対最小360m」を満たしていると説明
長坂JCTと長坂IC間の距離が短か過ぎて危険という沿線住民の会の指摘に対して、国交省は当初、2月6日に行われた山崎誠衆議院議員のヒアリングで、長坂JCTと長坂IC間の距離はネクスコの設計要領のノーズ間距離「絶対最小360m」を満たしており道路構造令にも違反していないと平然と弁明しました。
しかしその後、沿線住民の会が「絶対最小」と「標準最小」の意味を国交省に問い合わせると、甲府河川国道事務所の当時の横山浩保全対策官は「絶対最小は特例だ」としか説明できず、あいまいな説明に終始しました。
さらに
ネクスコの設計要領の「絶対最小360m」とは「織り込み区間」の最小距離であることを指摘すると反論できず、甲府河川国道事務所は今度は長坂JCTと長坂IC間は「織り込み区間」であると説明を一変させたのです。「織り込みでない区間」の長坂JCTと長坂IC間についてのノーズ間距離については「道路構造令」にその基準が明記されており、「織り込み区間」の最小距離を「織り込みでない区間」に適用できないことは明らかなのです。
国交省 突然3月9日に長坂JCTと長坂IC間は「織り込み区間」であると
都市計画原案の内容を変更
沿線住民の会の追及に弁明に窮した甲府河川国道事務所は、3月9日に行われた現地面談の際に17枚もの資料を配布し、その中で突然それまでの説明を変更し、長坂JCTと長坂IC間は「織り込み区間」であると主張を変えました。そして4月17日に行われた国交省本省企画課の原田課長補佐による2回目の山崎誠衆議院議員への説明の際には、長坂JCTと長坂IC間を「織り込み区間」と変更した図面まで提示したのです。
<4月17日に国交省が国会議員へ提示した図>
長坂JCT〜長坂IC間は「織り込み区間」に変更されている
国交省はいったいどうしてしまったのか!
都市計画原案の説明を一転二転させ居直りをはかる国交省
都市計画原案を見れば、長坂JCTと長坂IC間には「加速車線」「減速車線」があり、「織り込みでない区間」であることは明らかです。しかし甲府河川国道事務所が都市計画原案の説明の際に持ち出したネクスコの設計要領のノーズ間距離「絶対最小360m」は「織り込み区間」にしか適用できないため、甲府河川国道事務所はこの「織り込みでない区間」を「織り込み区間」として取りつくろうしか方策がなくなり、突然説明を変更したのは明らかです。
しかしこの変更・説明が破綻していることは明らかです。交通工学の「織り込み」「織り込み交通」の定義から逸脱するどころか無視し、長坂JCTと長坂IC間をつじつま合わせのために「織り込み区間」であると強弁する甲府河川国道事務所の説明は全く非科学的なもので、議論の対象にすらならないものです。それ故その「説明」は説得力を全く持たない、道路建設の基本を無視した暴論としか言えません。
国交省は中部横断自動車道(長坂〜長野県境)の事業予定者です。それなのに道路構造令を満たさない設計を発表し、説明に窮して交通工学の「織り込み」の定義をも無視してそれを勝手に「織り込み区間」に変更するなどということが許されるのでしょうか。国交省は国の機関としての責任を自覚し、速やかに中部横断自動車道の都市計画原案の基となった「詳細ルート案」を撤回するよう求めます。